検査と予防の世界を掘り下げる PREVONO編集長の星良孝より
「病気のリスクを減らすこと」を普通に意識できる社会に PREVONOで実現したいこと
2025年2月5日に、検査と予防のニュースサイトであるPREVONOを始めます。
筆者は編集長を務める星良孝と申します。ここではPREVONO(プレボノ)についての紹介と、このウェブサイトで実現したいことを書きたいと思います。
検査や予防の情報発信は簡単ではない
- 医療記者・編集者として25年以上の経験と獣医師資格を生かし、医療からバイオ、動物医療まで幅広い分野の情報発信に携わってきた。
- 日本の保険診療制度や自費診療の壁により、予防や検査は関心を持たれにくく、医療機関側も取り組みを継続しにくい現状がある。
- 新技術が多い検査・予防分野では、安全性や有効性の評価が難しく、遺伝子検査などは仕組みの理解自体が一般には難しい。
私、星良孝は25年以上にわたって医療分野の記者や編集者として情報提供に携わってきました。獣医師資格も持ち、専門的な情報にも対応できる立場を生かし、医療、健康、介護から、バイオテクノロジー、美容医療、動物医療、食品などあらゆる分野の記事を書いてきました。
検査や予防は、情報発信としては簡単ではない分野だと考えてきました。いくつか理由があると考えています。
一つ目として、検査や予防は、保険診療で受けられる通常の医療と比べて、一般の人々の関心が高いとはいえないということです。保険診療が一般的な日本では、たとえ病気になっても健康保険を使って安価に医療を受けることができます。そのため「病気は病気になってから考えるもの」と意識されやすく、予防に意識が向きづらい側面があると考えています。一方で、医療機関も予防の取り組みをしても、自費診療として対応する必要があり、利用する人を増やすのが簡単ではありません。例えば、フィットネスやプールをクリニックで行っているところがありますが、経営に苦労するケースも見てきました。
二つ目としては、安全性や有効性の情報が限られ、確かな効果があると言いづらい点もあります。検査や予防の分野は、新しい技術の流入が活発な分野であるという点もあります。そのため安全性や有効性のデータが限られており、端的に言えば、「それは意味があるの?」と疑われやすいという点もあると考えます。例えば、がんのPET(陽電子放出断層撮影)が行われていますが、これは人間ドックで提供されるケースがあります。医療機関の収入になりますが、症状がない人にPET検診を行うことは有効であるのかは、専門家の中ではネガティブな意見もあります。当事者の間で、検査の見方が変わってくるのは、検査や予防の難しい側面だと考えます。
三つ目は、検査や予防への取っつきにくさで、情報発信も難しくなりがちだという点です。技術を理解しづらいという側面は課題です。典型的な遺伝子関連の検査です。その人の体質や病気のなりやすさを、遺伝子検査で理解できるという検査が現在も行われています。海外では、米国の23andMeという会社が有名で、大々的に遺伝子検査サービスを提供していましたが、この会社は経営破たんしてしまいました(日本の民事再生法適用に当たる米連邦破産法第11条適用)。さまざまな理由はあるのだと思いますが、遺伝子検査は遺伝子の情報を読み取って、そこからリスクを知るというものです。検査のメカニズムを理解するためには、遺伝子の構造や機能を知る必要があり、なかなか一般に意義を理解してもらうのは容易ではありません。
社会が変わり検査や予防は身近に
- 検査・予防に関する専門的な情報を、中立的な立場で継続的に発信。
- 早期診断・早期治療の重要性を伝え、時代に即した医療リテラシー向上に貢献。
- 国内外の信頼性の高い情報を集約する、中立的な予防医療情報プラットフォーム。
そうした中で、日本国内にも検査や予防にまつわる情報はあふれているように見えます。では、なぜPREVONOというウェブサイトを始めるのか。
これを始めるに当たり、筆者は検査や予防の情報がどこから出ているか確かめてみました。
すると、確かに検査や予防に関わるインパクトのある話題がときどき出てきてはいるものの、意外と定期的に検査や予防についての情報を提供しているところは多くはないことに気付きました。
検査や予防については、食品でがんのリスクが減ったといった分かりやすい情報が、ときおり新聞やテレビのようなマスメディアで取り上げられて、話題になることはあります。ですが、検査や予防にまつわる細かな情報を継続的に得られる場所はまだまだ少ないという印象を持ちました。
2025年秋、筆者はプリベントメディカル社長である久米慶氏と出会い、同氏が中立的に検査や予防についての情報提供をしていきたいと語っているのを聞きました。筆者は、それならば専門のウェブサイトで情報を提供していくことができるのではないかと提案し、その話が進んで、PREVONO誕生に至りました。
同社は、一般の人たちが病気の早期診断や早期治療につながる検査を受けやすくするサポートをしています。また、同社はグループ会社で保険の仕組みも作っています。海外でも保険会社が医療情報発信の重要な担い手ですが、日本もそうした方向性が考えられるという印象を持ちました。
日本の置かれた状況は、保険財政の厳しさが指摘され、病気を早期診断、早期治療する意義がますます高まっていると考えます。情報技術の発達で、データ処理が高度化して、医療の安全性や有効性の評価もやりやすくなっています。また、技術はますます進歩する中で、一般の人々も人工知能を活用し、リテラシーも上がっています。そうした中で、PREVONOが船出するのは、時宜に合っていると考えました。
サイト名のPREVONOは、「予防」を意味するpreventionと、「良い」と意味するbonoの2つの単語を合わせた名称です。PREVONOでは、中立な立場から国内外の検査や予防に関わる情報を集めて、日々発信していきます。
前述のような検査や予防の情報発信の難しさはありますが、情報の量と質を増やすことにより、中身を掘り下げ、情報提供を改善しながら、共に学びを深めていければと考えています。多くの人が自身についてより良く理解できる社会作りに貢献できればと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
2026年2月5日 PREVONO編集長 星良孝
この記事の執筆者
星良孝
PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。





