日本

乳がん精密検査、約8割が「何を確認すればよいか分からない」

全国女性306人の調査で見えた精密検査先選びの情報不足と重視点

乳房の位置に腫瘍を示した人体イラスト。
乳がんの確定診断では、画像検査だけでなく組織診が必要になる場合がある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 乳がん検診で「要精密検査」となったとき、検査先を選ぶ際に何を確認すればよいのか分からない女性が多いことが示された。

 精密検査先を選ぶ際に「何を確認すればよいか分からない」と答えた人は77.8%に上った。

 東京都江戸川区の江戸川病院が、全国の女性306人を対象に行った乳がんの精密検査に関する調査結果を2026年10月に発表した。

精密検査の違い「具体的に知っている」は1割未満

乳房に手を当ててセルフチェックをする女性の上半身。
乳がん検診で要精密検査となった場合、検査先で何を確認すべきか分からない人が多いことが調査で示された。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 乳がん検診後の確定診断では組織診が必要になる場合があるが、66.7%がそのことを知らなかった。
  • 医療機関によって受けられる精密検査が異なることを具体的に知っていた人は7.2%にとどまった。
  • 医師や技師によって診断結果が異なる場合があることについても、72.5%が知らないと回答した。

 乳がん検診で異常が見つかった場合、必要に応じて組織の一部を採取して調べる「組織診(生検)」が行われることがある。江戸川病院は、医療機関によって実施できる精密検査の種類が異なるため、検査先を選ぶ際にはどのような検査に対応しているか確認することが重要としている。

 調査では、「乳がんかどうかを特定する確定診断には、組織診が必要になることがある」と知らなかった人が66.7%だった。

 また、医療機関によって受けられる精密検査の種類が異なることについて、「どの医療機関でもすべての検査が受けられると思っていた」「違いがあることは知っているが具体的には分からない」と答えた人は合わせて92.8%に上った。違いを具体的に知っていた人は7.2%にとどまった。

 さらに、乳がんの精密検査を行う医師や技師によって診断結果が異なる場合があることについて、72.5%が知らないと回答した。江戸川病院は、こうした点からも精密検査を受ける医療機関選びが重要だと説明している。

検査先選び、「近さ」「予約の早さ」が上位

乳房の横に手を当てて確認する女性。
乳がんの精密検査先選びでは、近さや予約の早さだけでなく、検査内容や診断体制の確認も重要となる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 精密検査先を選ぶ際、77.8%が「何を確認すればよいか分からない」と回答した。
  • 最も重視する条件は「家や職場から近い」が21.9%で、「早く予約が取れる」19.3%など利便性が上位を占めた。
  • 「診断経験の多い医師がいる」を最重視した人は8.2%で、検査内容や診療実績の確認が十分に意識されていない可能性が示された。

 実際に「要精密検査」となり、自分で検査先を選ばなければならない場合、最初に検討する医療機関として「乳腺専門医がいるクリニック」を挙げた人は62.1%、「乳腺専門医がいる総合病院や大学病院」は37.9%だった。

 一方、精密検査先を選ぶ際に最も重視することでは、「家や職場から近い」が21.9%で最多だった。「早く予約が取れる」が19.3%、「平日夜間や土日に受診できる」が8.5%で、利便性に関する項目を合わせると約半数を占めた。

 これに対し、「診断経験の多い医師がいる」を最も重視すると答えた人は8.2%だった。

 江戸川病院乳腺外科部長・乳腺センター長の田澤篤氏は、精密検査先を選ぶ際のポイントとして、組織診まで行っているか、乳がん治療の実績が客観的に公開されているかを確認することを挙げている。

 乳がん検診については受診を促す情報が広く知られている一方、「要精密検査」と通知された後、検査先を選ぶ際に何を確認すべきかについては、十分に知られていない可能性がある。

参考文献

乳がん精密検査、約8割が検査先選びで「何を確認すればよいか分からない」~ピンクリボン月間 独自調査~(江戸川病院)
https://hchx2x74pf.execute-api.ap-northeast-1.amazonaws.com/prod/k/5JEr9mWRAk33GwmAKbjVw1XD/1KnCQqwqWswaENZ8PgR/%E3%80%90%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%EF%BC%8F%E6%B1%9F%E6%88%B8%E5%B7%9D%E7%97%85%E9%99%A2%E3%80%91%E4%B9%B3%E3%81%8C%E3%82%93%E7%B2%BE%E5%AF%86%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%80%81%E7%B4%848%E5%89%B2%E3%81%8C%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E5%85%88%E9%81%B8%E3%81%B3%E3%81%A7%E3%80%8C%E4%BD%95%E3%82%92%E7%A2%BA%E8%AA%8D%E3%81%99%E3%82%8C%E3%81%B0%E3%82%88%E3%81%84%E3%81%8B%E5%88%86%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%8D%EF%BD%9E%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%9C%E3%83%B3%E6%9C%88%E9%96%93%20%E7%8B%AC%E8%87%AA%E8%AA%BF%E6%9F%BB%EF%BD%9E.pdf

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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