研究

日光や紫外線は「避けるだけ」でよいのか

皮膚がんリスクと、全身の健康に関わる可能性 死亡・感染症・がんなど10年分の研究を整理

海辺で帽子を手に持ち、白い服を着て歩く女性。
海辺を歩く女性。紫外線対策や日焼け予防が大切な季節。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 日光や紫外線と、死亡リスク、心血管疾患、感染症、がんとの関係が示された。

 米国などの研究グループが、過去10年の研究を整理し、2026年4月に発表した。

死亡や病気との関係を整理

砂浜に座り、日焼けした脚に手を添える人の様子。
日差しを浴びた肌の様子。紫外線による日焼けや肌への影響を示す場面。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 紫外線は日焼けやシミ、シワ、皮膚がんの原因となる一方、ビタミンD産生など体に必要な働きにも関わる。
  • 今回の総説では、2015年から2025年までに発表された28件の研究が分析対象となった。
  • 多くの研究で、日光や紫外線が多いことと、死亡リスクや一部の病気のリスクが低いこととの関連が報告された。

 紫外線は、日焼け、シミ、シワ、皮膚がんの原因として知られている。特に皮膚がんとの関係は明確で、強い紫外線を避けることは重要とされる。

 一方で、日光は体にとって必要な働きもある。

 例えば、紫外線を浴びると体内でビタミンDが作られる。また、皮膚で一酸化窒素が働き、血管が広がって血圧が下がる可能性も指摘されている。

 今回の総説では、2015年1月から2025年6月までに発表された英語論文を調べている。最終的に28件の研究が分析対象となった。

 28件の内訳は、総死亡に関する研究が6件、心血管疾患が4件、感染症が12件、皮膚以外のがんが6件。研究の種類では、地域ごとのデータを比べる研究が16件、個人を追跡するコホート研究が8件含まれていた。

 全体として、多くの研究で、日光や紫外線が多いことと、死亡リスクや一部の病気のリスクが低いこととの関連が報告されていた。例えば、英国の50万人超を対象とした研究では、年間の日射量が1平方メートル当たり2000キロジュール多い場合に、総死亡リスクが12%低いことが示された。

 ただし、この結果は「日光を浴びれば浴びるほど健康になる」という因果関係を示すわけではない。というのも、日光をよく浴びる人は、屋外で活動する時間が長く、運動量や生活環境が違う可能性がある。こうした影響が結果に混じるため、数字は慎重に見る必要がある。

感染症、心血管疾患、がんで低リスク傾向も

晴れた公園で、淡い色のワンピースを着た女性が芝生の上を歩く様子。
晴天の屋外を歩く女性。日常生活の中で紫外線を浴びる場面。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 感染症では、新型コロナウイルス感染症を中心に、紫外線や日光が多い地域ほど感染者数や死亡数が少ない傾向が報告された。
  • 心血管疾患では、日光に当たる機会が少ない人で高血圧が多い傾向や、紫外線量が多いほど血圧が低い傾向が示された。
  • 皮膚以外のがんではリスク低下を示す研究もあるが、がんの種類によって結果は異なり、解釈には注意が必要。

 感染症については、12件の研究が含まれた。このうち10件は新型コロナウイルス感染症に関する研究だ。

 米国、英国、イタリア、スペイン、フランス、アラブ首長国連邦などの研究で、紫外線や日光が多い地域ほど、感染者数や死亡数が少ない傾向が報告されていた。

 例えば、チリの研究で、日射量が少ない地域ほど結核の発生、入院、死亡が多い傾向が示された。米国の研究では、紫外線指数が高い地域ほど、クロストリジウム・ディフィシル感染症で入院した患者の死亡が少ない傾向も報告された。

 心血管疾患では、4件の研究が分析された。スウェーデンの女性2万3593人を対象にした研究では、日光に当たる機会が少ない人で高血圧の割合が高い傾向があった。米国の透析患者34万2457人を対象にした研究では、紫外線量が多いほど、透析前の収縮期血圧が低い傾向が示された。

 がんについては、結果がより複雑だった。

 紫外線は皮膚がんの原因である一方、皮膚以外の一部のがんでは、日光や紫外線が多いこととリスク低下の関連を示す研究もあった。

 例えば、日光を浴びる量が多い人でホジキンリンパ腫のリスクが23%低く、非ホジキンリンパ腫のリスクが12%低いとするメタ解析が紹介されている。一方で、子宮頸がんや肝がんでは、日射量が多いこととリスク上昇の関連を示した研究もあった。

 今回のレビューは、日光や紫外線には皮膚へのリスクだけでなく、全身の健康に関わる可能性もあることを示した。ただし、個人が実際に浴びた紫外線量を正確に測った研究ばかりではなく、結果の解釈には注意が必要である。

 積極的な日焼けや長時間の日光浴を勧めるものではない。皮膚がんや光老化を防ぐための紫外線対策は続けながら、日光を極端に避けすぎないバランスを考えることが重要である。

参考文献

Ziglar JA, Quiñonez RL, Mpyisi LFM, Kohli I, Gilaberte Y, Lim HW. Systemic effects of sunlight: 10-year review of cardiovascular, infection and cancer outcomes. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2026 Apr 20. doi: 10.1111/jdv.70461. Epub ahead of print. PMID: 42003711.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42003711/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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