家庭での血圧測定は、高血圧の早期発見や治療効果の確認にとって重要となる。一方で、毎日測定を続けるのはハードルになることもある。
京都大学とオムロンヘルスケアの共同研究チームは、約30万人規模の家庭血圧の測定データに基づいて、測定の中断をAIで予測し、測定の継続をサポートできる可能性を示している。
継続の壁を見つけ出す
自宅で血圧を測定する女性の様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
高血圧は心血管疾患の主要リスク要因で、病気予防には家庭での継続的な血圧測定が血圧管理の鍵となる。
毎日の測定を習慣化するのは難しく、中断すると普段の血圧が把握できず、管理状況や治療による予防効果が見えづらくなる。
研究グループは「続けにくさ」をデータで捉えて早期対策につなげるため、約30万人・1億9000万件超の家庭血圧データを使い、開始2週間の状況などから4週間後の継続有無をAIで予測するモデルを開発した。
高血圧は心血管疾患の主要なリスク要因になり、血圧を下げることが病気を防ぐためには重要となる。そのために日々の血圧の管理が欠かせない。家庭血圧を継続的に測定することは、血圧管理の鍵となる。
ただ、毎日、血圧を測定することを習慣化することがハードルになることもある。
血圧の測定を中断すると、普段の血圧が分からなくなるので、血圧管理がうまくいっているのかを見えづらくし、治療による病気予防の効果にも響きかねない。
そこで研究グループは「続けにくさ」の理由がどこにあるのかをデータとして捉えられることで、早めに対策を打つことができないかと考えた。
活用したのはAI(人工知能)だ。研究グループは、オムロンヘルスケアが保有する約30万人、1億9000万件超の家庭血圧測定データを用い、年齢や性別などの基本情報と、測定開始から2週間の測定状況を入力として、4週間後に測定を継続しているかどうかを機械学習で予測するモデルを開発した。
平日の測定頻度が低下した場合などに注意が必要
医療従事者が血圧測定について説明する様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
AIモデルは家庭血圧測定の中断を約9割の確度で判別でき、中断につながりやすい行動・状態も示せた。
平日の測定頻度の低下や血圧値の極端さ(高すぎる/低すぎる)が中断リスクと関連し、30歳以下・80歳以上・女性で継続が難しい傾向が確認された。
中断しそうな人を早期に見つけて医療者フォローやリマインドで支援し、特に高血圧なのに継続が低い層を優先的に対策することが重要。
解析の結果、AIモデルは測定中断を約9割の確度で判別できた。
しかも、単に中断を当てるだけでなく、どのような行動や状態が中断につながりやすいかも示すことができた。
具体的には、平日の測定頻度が前週より減少していくパターン、血圧値が高すぎる、低すぎるといった極端さが見られた際に、中断リスクと結びつきやすいことが分かった。
さらに、若年層(30歳以下)や高齢層(80歳以上)、女性では測定継続が難しい傾向が確認された。
こうした特徴をAIがとらえることで、中断しそうな人を早い段階で見つけ出して、医療従事者によるフォローや、デバイス側のリマインドなどを行うことが、測定継続を促すきっかけづくりになると考えられる。
研究では、特に血圧が高いのに継続が低い層は放置するとリスクが高いため、優先的に対策を打つことが重要と強調している。
家庭血圧の測定継続を個人の努力だけに頼らずに、AIを使ってうまくサポートする仕組みが作られることが、高血圧の治療効果を高める仕掛けとして今後注目される可能性がある。
さらに研究グループでは体重や血糖など他の健康指標への応用も視野に入るとしている。
研究の成果は国際学術誌「Hypertension Research」で2025年11月に発表された(大学は12月に発表)。