世界

血糖とケトンを同時に測る「世界初」のセンサー、米FDAが販売を許可

ケトン上昇を自動追跡し、糖尿病ケトアシドーシスの早期対応につなげる新機器

上腕に装着した円形の持続血糖測定センサーを、手元の読み取り機器で確認している様子。
上腕に装着して血糖値などを連続的に測定するセンサー。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 血糖値だけでなく、糖尿病の重い合併症につながる「ケトン」の上昇も同じセンサーで連続して確認できる──。そんな新しい糖尿病モニターが米国で認められた。

 米アボットは2026年8月、血糖とケトンを同時に測定する「Libre Duo 10 Day(リブレ・デュオ・10デイ)」について、米食品医薬品局(FDA)のDe Novo制度による販売許可を得たと発表した。同制度は、比較対象となる同種の既存医療機器がない新しいタイプの医療機器について、FDAが安全性や有効性を審査し、新たな分類を設ける仕組みだ。

 同社によると、血糖とケトンを同時に連続測定する技術として世界初となる。

捉えにくい「ケトン上昇」を監視

上腕に装着した円形の持続測定センサーと、手に持ったスマートフォン型の読み取り機器。
血糖値やケトン値の変化を連続的に確認するウェアラブルセンサーのイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • インスリン不足でケトンが増えると、重症化すると意識障害や死亡につながる糖尿病ケトアシドーシスを起こすことがある。
  • 従来の血液・尿検査はその時点のケトン値を調べる方法だが、Libre Duo 10 Dayは血糖とケトンを連続して測定する。
  • ケトン値の危険な上昇を検知すると警告し、糖尿病ケトアシドーシスの早期対応につなげることを目指す。

 糖尿病では、血糖値を日常的に確認することが重要だ。現在は、皮膚にセンサーを装着して血糖値を連続的に測る持続血糖測定器も使われている。

 一方、血糖値だけでは十分に把握できないリスクもある。その一つが「ケトン」の上昇だ。

 体内のインスリンが不足すると、体は糖の代わりに脂肪をエネルギー源として使い始め、その過程でケトンが増える。ケトンが過剰に増えると、「糖尿病ケトアシドーシス(DKA)」と呼ばれる状態につながることがある。糖尿病ケトアシドーシスは数時間で進行する場合があり、治療が遅れると意識障害や死亡につながることもある。

 今回の発表によると、糖尿病ケトアシドーシスによる入院は過去10年間で55%増加したとされる。一方で、自宅で血中ケトンを測定できる環境がない人も多く、初期のケトン上昇に気づきにくいことが課題となっていた。

 従来の血液や尿によるケトン検査は、その時点の値を確認する方法だ。これに対してLibre Duo 10 Dayは、血糖値とともにケトン値も継続して測り、上昇を検知した場合に警告する。血糖を確認するためのセンサーを身につけたまま、ケトンの危険な変化も同時に監視できる仕組みだ。

最長10日間装着、2歳以上の糖尿病患者が対象

上腕に装着した円形のセンサーに、手元の読み取り機器を近づけている様子。
持続血糖測定では、腕などに装着したセンサーで血糖値の変化を確認する。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 1つのセンサーで血糖とケトンを同時に連続測定し、結果はスマートフォンのアプリなどで確認できる。
  • 対象は2歳以上の糖尿病患者で、最長10日間装着でき、インスリン使用者やSGLT2阻害薬の使用者などでの活用を想定している。
  • FDAは血糖とケトンを統合して連続測定する新たな「iCGK」基準を設け、Libre Duo 10 Dayを最初の適合システムとして認めた。

 Libre Duo 10 Dayは、1つのセンサーで血糖とケトンを連続して測定し、その結果をスマートフォンのアプリなどで確認できる。

 対象は2歳以上の糖尿病患者で、最長10日間装着できる。特に、インスリンを使用している1型および2型糖尿病患者や、ケトン上昇のリスクに関係する「SGLT2阻害薬」などの血糖降下薬を使っている人での利用を想定している。

 FDAは今回、血糖とケトンを統合して連続測定する「iCGK」という新たな基準を設け、Libre Duo 10 Dayはこの基準を満たす初のシステムとなった。アボットは2026年中に米国で発売する予定としている。また、将来的にはインスリンポンプなどの自動インスリン投与システムとの連携も進める。2026年末までに一部のシステムとの接続を予定し、2027年にはさらに複数の機器への対応を計画している。

 血糖とケトンを同時に連続測定できる新しい技術によって、糖尿病ケトアシドーシスにつながる変化に早く気づける可能性がある。

参考文献

Abbott receives FDA authorization for world’s first dual glucose-ketone sensing technology for people with diabetes(Abbott)
https://abbott.mediaroom.com/2026-08-25-Abbott-receives-FDA-authorization-for-worlds-first-dual-glucose-ketone-sensing-technology-for-people-with-diabetes

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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