スマートフォンやパソコンに向かって約60秒話すだけで、脳の健康状態の変化に気づける──。そんな音声AIを使ったセルフチェックの実証実験が始まった。
エクサウィザーズグループのExaMDと、エーザイグループのテオリア・テクノロジーズは2026年8月、音声から認知機能の状態を分析する「CogniTalk(コグニトーク、β版)」を一般向けに公開し、使いやすさやその後の行動の変化を調べる実証実験を開始した。
認知症になる前の「気づき」を増やせるか
音声AIを使い、約60秒の発話から認知機能の状態を確認するセルフチェック。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- スマートフォンやパソコンに約60秒話し、録音した音声をAIで分析して認知機能の状態を確認する。
- AIは会話音声を解析し、認知機能の状態を10段階のスコアで示して、小さな変化を捉えることを目指す。
- 一般向けの実証実験では、音声チェックへの心理的な抵抗や操作のしやすさなどを検証する。
ExaMDとテオリア・テクノロジーズによると、国内では認知症や軽度認知障害(MCI)の当事者が1000万人を超え、このうち軽度認知障害は約500万人と推計されている。
両社によると、軽度認知障害は、適切な対応を行うことで健康な状態へ回復する可能性がある重要な段階とされる。
一方、現状では、適切な対策をとらないまま経過するケースも多く、早い段階で本人が変化に気づき、対応につなげる機会を増やすことが課題となっている。
そこで両社が検証するのが、会話の音声を使ったセルフチェックだ。
実証実験では、スマートフォンやパソコンのウェブブラウザを使い、参加者が約60秒間自由に話す。実際にAIの分析に使う発話部分の目安は約30秒で、考える時間なども含めて、録音時間を60秒としている。
コグニトークは、録音された声を複数のAIモデルで分析し、認知機能の状態を10段階のスコアで示す。両社は、単に「問題あり・なし」の二択ではなく、小さな変化を捉えることを目指した仕組みとしている。
実証実験は、一般の人が参加できるオープンテストとして行われ、音声によるチェックに心理的な抵抗がないか、操作しやすいかなどを調べる。
チェック後に行動が変わるかも検証
認知機能の変化に早く気づき、早期の対応につなげることを目指す音声AIのセルフチェック。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- セルフチェックを受けることで、脳の健康への意識や、その後の行動が変化するかを調べる。
- コグニトークは医療機器としての診断用ではなく、自分の認知機能の変化に気づくきっかけをつくるヘルスケア向けの仕組み。
- 実証結果を基に、既存サービスへの組み込みや事業化、ライセンス提供などを検討する。
今回の実証実験では、音声によるセルフチェックの使いやすさだけでなく、その後の意識や行動が変わるかも調べる。
セルフチェックを受けたことで、自分の脳の健康について意識するようになるなど、意識や行動に変化が生まれるかを検証する。
ExaMDは、会話音声から認知機能を判定するプログラム医療機器について別途治験を進めている。コグニトークは、その開発で蓄積した技術や認知症専門医の知見を基に、一般のヘルスケア向けに開発したものだ。現段階では、自分の状態に気づくきっかけをつくるセルフチェックとして位置付けられている。
両社は実証実験後、音声データの取得状況や、チェック後にどのような意識や行動の変化が生まれたかをまとめる予定だ。その結果を踏まえ、既存サービスへの組み込み、事業化、ライセンス提供などを検討する。