研究

歯をすべて失うと老化が進む?

「生物学的年齢」が2年後に0.82歳高く、東京科学大学が発表

歯ブラシを持って歯みがきをする女性
歯みがきをする女性。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 歯をすべて失うことが、その後の老化を加速させる可能性が分かった。

 東京科学大学の研究グループが2026年2月に発表した。

歯を失うことと老化の関連を検証

鏡を見ながら歯の状態を確認する女性
鏡を見ながら歯の状態を確認する女性。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 研究では、歯周病など口腔の状態と老化の関係を検証するため、50歳以上1889人のデータを分析した。
  • 老化の指標として、血圧、肺機能、HbA1c、握力、歩行速度などから「生物学的年齢」を算出した。
  • 生物学的年齢は、臓器や生理機能の状態を反映する年齢で、暦年齢とは異なる老化の指標とされる。

 今回の研究で調べられた「生物学的年齢」とは、暦年齢とは異なり、臓器や生理機能の状態を反映した年齢のことで、老化の指標とされている。

 今回、研究グループは、歯周病などの口腔や歯の病気と、生物学的年齢に基づいた老化の関連に着目。英国の50歳以上を対象とした大規模研究の1889人分のデータを分析した。

 生物学的年齢は、血圧、肺機能、HbA1c、握力、歩行速度など、心血管、呼吸器、代謝など5つの生理学的指標を用いて算出した。

口の健康が健康寿命に影響する可能性

手鏡を見ながら口元を確認する女性
手鏡で口元を確認する女性。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 歯をすべて失った人は、歯が残っている人より2年後の生物学的年齢が平均0.82歳高かった。
  • この関連は、経済状況や既往症、生活習慣などの影響を調整しても認められた。
  • 口腔や歯の健康は、全身の老化や健康寿命に関係する可能性があると研究グループは指摘している。

 結果として、歯をすべて失った人は、歯が残っている人に比べ、2年後の生物学的年齢が平均0.82歳高いことが明らかになった。この関連は、経済状況、既にかかっている病気、生活習慣などの条件にかかわらず認められた。

 研究グループは、歯を失うことは単なる口や歯の問題だけにとどまらず、全身の老化に影響する可能性があると指摘している。

 口の健康と老化や寿命との関連についての研究が進んでいる。PREVONOの記事でも2月に、歯科健診を受けない後期高齢者の死亡リスクが1.5倍になるという大阪公立大学の研究を紹介した。

 今回の東京科学大学の研究も踏まえると、口腔や歯の健康は、健康寿命に密接に関連する可能性がある。

 研究成果は国際学術誌「Journal of Clinical Periodontology」に2026年2月9日付で掲載された。

参考文献

歯の喪失が生物学的老化を加速する可能性を解明(東京科学大学)
https://www.isct.ac.jp/ja/news/ttxrrjnsfmeo

歯科健診を受けない後期高齢者、死亡リスクが約1.5倍に(PREVONO)
https://prevono.net/research/573/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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