研究

15歳の学業プレッシャー、うつ症状は22歳まで関連 自傷リスクも24歳まで持続か

英国ロンドン大学UCLなどの研究グループが報告

本を読んでいる人物のシルエットと開いた本のイラスト
本を読んでいる人物を表したシルエットイラスト。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 15歳時点で感じる学業のプレッシャーが、その後のうつ症状や自傷リスクと関連する可能性が報告された。その影響は成人になってからも続く可能性がある。

 英国ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンを中心とする研究グループが2026年2月に報告した。

学校での重圧が心の健康を左右

参考書に線を引きながら勉強している手元
参考書に線を引きながら勉強している様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 思春期のうつや自傷は本人の苦痛だけでなく、その後の生活や社会参加にも長期的な影響を及ぼす可能性がある。
  • 若者のメンタルヘルス悪化の要因として、学業に関するプレッシャーが各国で指摘されている。
  • 英国の出生コホート約4700人を対象に、15歳時点の学業プレッシャーとうつ症状・自傷との関連を追跡調査した。

 思春期に始まるうつや自傷は、本人の苦痛にとどまらず、その後の生活や社会参加にも長く影響し得る。

 若い世代のメンタルヘルス悪化は各国で指摘され、その要因の一つとして学業に関する重圧が指摘される。

 今回の研究では、学業のプレッシャーとその後のメンタルヘルスの関連が検証された。

 研究グループは、英国南西部で1991~1992年に生まれた子どもを対象にした追跡調査の4714人分を分析した。

 主な焦点となったのは15歳時点の学業プレッシャーで、研究では、「学校の課題を終えることを強く心配する」「家庭から学校で良い成績を取るよう強いプレッシャーを感じる」「試験で一定の成績を取ることをどれほど重要と考えるか」といった質問への回答を基に、学業プレッシャーを0~9点の尺度で数値化した。

 その上で、うつ症状は16歳から22歳まで複数回にわたり追跡し、自傷についても16歳から24歳まで調べた。解析では、結果に影響しうる要因をできる限り調整した。

うつ症状は22歳まで、自傷リスクは24歳まで関連

机で参考書を開き、書き込みをしながら勉強する女性
机で参考書を開き、書き込みをしながら勉強する女性。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 15歳時点の学業プレッシャーが高いほど、その後のうつ症状スコアが高くなる関連が確認された。
  • 影響は16歳で最も大きく、関連は22歳まで続き、自傷行為のリスクとの関連は24歳まで見られた。
  • 因果関係は断定できないが、家庭や学校からの学業プレッシャーが若者のメンタルヘルスに影響する可能性が示唆された。

 分析の結果、15歳時点の学業プレッシャーが1点高まるごとに、うつ症状のスコアは0.43点高くなる関連が確認された。

 影響は16歳時点で最も大きかったが、22歳時点でも関連は残っていた。年齢ごとの推定では、16歳で0.53点、17歳で0.41点、18歳で0.42点、21歳で0.45点、22歳で0.35点の増加が示されており、学業プレッシャーの影響が成人の初め頃まで尾を引く可能性がうかがえる。

 なお、11歳および14歳時点の学業プレッシャーも、うつ症状と関連していた。

 自傷についても同様の傾向が見られた。15歳時点の学業プレッシャーが1点高いごとに、自傷行為に至る可能性が高まった。しかもこの関連は、16歳から24歳までの各時点で大きく変わらなかった。

 この研究は関連を検証したものなので、学業プレッシャーがそのままうつ症状の原因になると一概に言えないものの、本人の不安や家庭からの期待など注意は必要になりそうだ。

 また、参加者が15歳だったのは2006~2007年で、現在の教育制度や新型コロナウイルス後の状況は反映しておらず、現時点の状況は変化している可能性もある。

 15歳と言えば、日本では中学卒業前後に当たる。海外の今回のような研究は精神的な健康を保つ上で参考になる可能性がある。

参考文献

Academic pressure linked to increased risk of depression in teens(UCL)

https://www.ucl.ac.uk/news/2026/feb/academic-pressure-linked-increased-risk-depression-teens

Guo X, Mueller MAE, Armitage JM, Bonell C, Ford TJ, John A, Lewis G, Murphy S, Ploubidis G, Rice F, Sullivan A, Lewis G. The association between academic pressure and adolescent depressive symptoms and self-harm: a longitudinal, prospective study in England. Lancet Child Adolesc Health. 2026 Feb 12:S2352-4642(25)00342-6. doi: 10.1016/S2352-4642(25)00342-6. Epub ahead of print. PMID: 41692021.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41692021/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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