日本

「頭頸部がん」の認知度は4割どまり、舌がん・甲状腺がんを含むと知る人は3割

スポーツイベント来場者延べ3992人を調査、部位による認識の差が明らかに

首元に手を当てて、のど周辺を確認する女性。
頭頸部がんには、口腔、咽頭、喉頭、甲状腺など、頭から首にかけてのがんが含まれる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 頭頸部がんの認知度は約4割にとどまり、舌がんや甲状腺がんが頭頸部がんに含まれることは十分に知られていないと分かった。

 日本頭頸部癌学会と楽天メディカルが2026年7月に発表した。2025年に開かれた啓発イベントで、来場者延べ3992人から得た回答を分析した。

食べる、話す、聞こえに関わる頭頸部がん

のどの前側に手を当てて、首まわりの違和感を確かめる女性。
咽頭がんや喉頭がんは頭頸部がんとして比較的認識されている一方、舌がんや甲状腺がんの認知は低かった。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 頭頸部がんは、脳と目を除く頭から鎖骨までに発生するがんの総称で、口腔がんや咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がんなどが含まれる。
  • 呼吸や飲み込み、発声、味覚、聴覚に関わる部位に生じるため、治療ではがんの根治と生活機能の維持を両立することが重要になる。
  • スポーツイベントの来場者延べ3992人を対象に、頭頸部がんの認知度や医療情報の集め方を調査した。

 日本頭頸部癌学会は、頭頸部がんを、頭から鎖骨までの範囲に発生するがんの総称だと説明している。脳と目のがんは含まず、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、鼻腔・副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がんなどが該当するという。

 学会によると、頭頸部には、呼吸や飲み込み、発声、味覚、聴覚など、生活に欠かせない機能が集まっている。病気や治療によってこうした機能が損なわれると、生活の質に大きく影響するため、治療では、がんを治すことと機能を守ることの両立が重要になるとしている。

 また、学会は、日本では年間約4万7000人が頭頸部がんに罹患していると説明している。一方で、胃がんや肺がんなどと比べると、頭頸部がんという名称や、どの部位のがんが含まれるのかは十分に知られていないとみている。

 こうした状況を踏まえ、日本頭頸部癌学会と楽天メディカルの調査チームは、頭頸部がんの認知度や医療情報の集め方を調べるアンケートを2025年に実施した。

 調査は、東北楽天ゴールデンイーグルスとヴィッセル神戸の公式戦に合わせて開かれた啓発イベントで行われ、来場者から延べ3992人分の回答を得た。

 調査チームは2024年にも同様の方法で調査しており、認知度の変化や、今後の啓発活動の方向性を継続して確かめる狙いがあったとしている。

 ただし、回答者はスポーツイベントの来場者で、全国から無作為に選ばれた人ではない。今回の結果は日本全体の認知度をそのまま示すものではなく、イベント来場者を対象とした調査結果として見る必要がある。

咽頭がんと喉頭がんは8割、舌がんと甲状腺がんは3割

首の前側に指を当てて、甲状腺周辺を確認する医療従事者風の人物。
甲状腺がんも頭頸部がんに含まれるが、調査ではその認識は約3割にとどまった。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 頭頸部がんの認知度は約40%で、2024年に行われた調査とほぼ同じ水準だった。
  • 咽頭がんと喉頭がんを頭頸部がんに含まれると認識していた人は80%以上だった。
  • 舌がんと甲状腺がんを含むと認識していた人は約30%にとどまり、対象部位を広く伝える啓発が課題となった。

 調査チームによると、頭頸部がんを知っていると答えた人は約40%だった。2024年の調査とほぼ同じ水準だったという。

 頭頸部がんに含まれる部位の認識には差があった。咽頭がんと喉頭がんは、回答者の80%以上が頭頸部がんに含まれると答えた。一方、舌がんと甲状腺がんは約30%にとどまった。

 調査チームは、咽頭がんと喉頭がんは頭頸部がんとして比較的認識されている一方、舌や甲状腺のがんまで含まれることは十分に知られていないと見ている。

 普段利用している医療情報源は、主治医が最も多く、インターネット、医療関係者の友人が続いた。また、適切な医療情報を得る方法として、医療機関や学会のウェブサイトが良いと考える回答が多かった。

 こうした結果を踏まえ、調査チームは、医療機関や学会のウェブサイトをさらに充実させる必要があると指摘している。動画などを使った情報発信についても、認知度の向上につながるかを検証することが今後の課題であるとしている。

 リリースでは、国立がん研究センターがまとめたがん予防に関する知見を基に、喫煙と飲酒は頭頸部がんを含む複数のがんのリスクを高める要因と説明している。日本頭頸部癌学会と楽天メディカルは、禁煙や節酒、口腔ケアなどを中心とした啓発を続ける方針だ。

 調査チームは、頭頸部がんに含まれる部位を広く伝えることが、異変に気づいた人の早期受診や治療につながる可能性があると見ている。

参考文献

「楽天メディカル 頭頸部がん克服デー」で実施した、頭頸部がんに関する調査結果(2025年)を第50回日本頭頸部癌学会学術講演会でポスター発表(日本頭頸部癌学会・楽天メディカル)
http://www.jshnc.umin.ne.jp/pdf/jshnc_web_poster_2026.pdf

頭頸部がん認知度向上プロジェクト2025 日本頭頸部癌学会 広報委員活動報告(日本頭頸部癌学会)
http://www.jshnc.umin.ne.jp/pdf/20260611_poster.pdf

頭頸部がんの認知度と医療情報の収集方法(頭頸部癌)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhnc/51/1/51_1/_article/-char/ja/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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