口の中を撮影した画像から、口腔がんなどが疑われる所見をAI(人工知能)で解析する医療機器が、製造販売承認を取得した。
一般の歯科医院で見つかった異変について、より専門的な医療機関への受診を勧める必要があるか、歯科医師が判断する際の情報を示すシステムだ。
大阪大学歯学部附属病院が2026年8月4日に発表した。
口内炎に似た初期の口腔がんを見分けるきっかけに
一般の歯科医院で見つかった口の中の異変を、口腔外科などの専門医療へつなげる判断をAIが支援する。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 初期の口腔がんや将来がんになる可能性のある病変は、口内炎や良性疾患と見分けにくい場合がある。
- 「Mucosight AI」は口腔内の画像を解析し、口腔がん、白板症、良性腫瘍、口内炎の特徴を持つ所見を確認する。
- AIの解析結果を基に、高次医療機関への受診を勧める必要があるか、歯科医師が判断するのを支援する。
口腔がんは、舌や歯茎、頬の内側など、口の中にできるがんだ。胃がんや大腸がんとは異なり、内視鏡などを使わなくても、口の中を観察することで発見のきっかけを得られる。
一方、研究グループによると、初期の口腔がんや、将来がんになる可能性がある口腔粘膜の病変は、口内炎や良性疾患と見分けにくい場合がある。
一般の歯科診療では、口腔粘膜疾患を日常的に数多く経験する機会が限られる。このため、口の中に気になる変化が見つかっても、専門医へ紹介すべきか判断に迷うことがあるという。
承認された「口腔粘膜画像解析システム Mucosight(ムコサイト) AI」は、一般の歯科医院で撮影した口の中の画像をAIで解析する。
対象となるのは、口腔がん、白板症、良性腫瘍、口内炎の特徴を持つ所見だ。AIが画像の特徴を解析し、高次医療機関への受診を勧める必要があるか、歯科医師が判断するための情報を示す。
口の中の異変を早い段階で拾い上げ、詳しい診察が必要な人を口腔外科などの専門医療へつなぐことが、このシステムの目的となる。
大学発の研究を医療機器として実用化
口腔粘膜画像解析システムは、歯科医師の診察を置き換えるものではなく、口の中の所見を確認する際の判断材料を提供する。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 大阪大学の口腔粘膜疾患の早期発見を支援する研究を基に、診療で使える医療機器として開発された。
- 大阪大学が研究開発、NVIDIAがAI技術と計算環境、モリタ東京製作所が製品化や薬事対応を担った。
- 最終診断は歯科医師や医師が行い、AIは専門医療機関への紹介を検討するための判断材料を提供する。
Mucosight AIは、大阪大学歯学部附属病院口腔外科1の平岡慎一郎講師らが進めてきた、口腔粘膜疾患の早期発見を支援する研究をもとに開発された。
大阪大学が研究開発と知的財産を中心的に担い、NVIDIAがAIモデル開発に関する技術的な知見と計算環境を提供した。モリタ東京製作所は、医療機器としての製品化や薬事対応、製造販売を担当した。
大学、IT企業、歯科医療機器メーカーが役割を分担し、多施設での共同研究を経て、研究段階のAIを診療で使える医療機器として実用化した。
最終的な診断は歯科医師または医師が行う。AIは画像に見られる特徴を示し、専門医療機関への紹介が必要かを検討するための判断材料を提供する。
大阪大学は、このシステムによって地域の歯科医院と口腔外科の連携が進み、口腔がんの早期発見と適切な専門医療への受診につながることを期待している。