くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤を、AI(人工知能)で見つけやすくする医療用ソフトウエアが開発された。
医師が検査画像を読むのと同時に、AIが脳動脈瘤の疑われる場所を示す仕組みだ。脳動脈瘤の検出を支援し、読影と同時にAIの解析結果を示す医療機器として、2026年7月6日に国内で初めて薬事承認を取得した。
富士フイルムが2026年7月22日に発表した。
2mm以上の血管の膨らみをAIが表示
MRA画像から脳動脈瘤が疑われる部位をAIが検出し、オレンジ色の円で示した例。(出典:富士フイルム)
- 脳動脈瘤は、脳の血管がこぶ状に膨らむ病気で、破裂すると死亡率の高いくも膜下出血を引き起こす。
- 開発したソフトはMRA画像をAIで解析し、長径2mm以上の局所的な血管の膨らみを自動検出する。
- 疑わしい場所をオレンジ色の枠や立体画像上の印で示し、使用しない場合より検出感度が10%以上向上した。
脳動脈瘤は、脳の血管の一部が弱くなり、こぶのように膨らむ病気だ。膨らんだ部分が破裂すると、脳を覆う膜の内側に出血する「くも膜下出血」を引き起こす。
富士フイルムによると、くも膜下出血の死亡率は30%と高い。救命できても後遺症が残り、日常生活に支障が生じる場合がある。このため、脳動脈瘤を破裂前に見つけ、治療や経過観察につなげることが重要になる。
脳動脈瘤を調べる際には、MRAと呼ばれる画像検査が使われる。MRAは、MRIを利用して脳の血管を写し出す検査だ。
医師は、多数の断面画像や立体画像をさまざまな角度から確認し、複雑に枝分かれした血管の中から小さな膨らみを探す。確認する画像が多い上、わずかな変化を見つける必要があり、読影には時間と集中力が求められる。
今回のソフトウエアは、MRA画像をAIで解析し、脳の動脈にある長径2mm以上の局所的な膨らみを自動で検出する。
断面画像では、脳動脈瘤が疑われる場所をオレンジ色の枠で囲む。MRA画像から作った立体画像にも印を付け、位置を確認しやすくする。
AIが検出した脳動脈瘤候補を、断面画像上のオレンジ色の枠とスクロールバー上の印で示す表示例。(出典:富士フイルム)
また、別の断面画像で検出された候補は、画面右側のスクロールバーに表示される。医師はマークを選ぶことで、該当する画像をすぐに確認できる。
富士フイルムは、ソフトを使った場合、使わなかった場合と比べ、病変を正しく検出する「感度」が10%以上向上したと説明している。
医師の読影と同時にAIの結果を提示
MRI検査装置の内部と検査台。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 医師が画像を読むのと同時にAIの解析結果を確認できる「コンカレントリード型」を採用した。
- 最初からAIが示した候補を見ながら読影できるため、脳動脈瘤の見落とし防止と作業の効率化が期待される。
- 脳動脈瘤の検出支援で、読影と同時にAIの結果を示す医療機器として国内で初めて薬事承認を取得した。
今回のソフトウエアの特徴は、医師が検査画像を読むのと同じタイミングで、AIの解析結果を確認できる点だ。富士フイルムは、この仕組みを「コンカレントリード型」と呼んでいる。
従来の方式では、医師がまず画像を読み、その後でAIの解析結果を確認する。必要に応じて画像を見直すため、確認作業が二段階になる。
今回のソフトでは、医師が最初からAIの示した候補を確認しながら画像を読める。富士フイルムは、見落としの防止に加え、読影作業の効率化も期待できるとしている。
脳動脈瘤の検出を支援し、医師の読影と同時にAIの解析結果を示す医療機器として承認されたのは、国内で初めてという。
ソフトは、富士フイルムの画像診断支援システム「シナプス・サイ・ビューワ」と、立体画像解析システム「シナプス・ヴィンセント」で使うことを想定している。
今回の承認により、脳動脈瘤の見落とし防止と、画像を確認する作業の効率化にAIを活用する動きが進む可能性がある。