日本

肺がん検診で「異常所見の疑いが低い」とAIが表示、京都府内で本格導入

胸部X線の読影負担軽減へ、「2人以上の医師による確認体制」は維持

医師が胸部X線画像フィルムを手に持ち、肺や胸部の状態を確認している様子。
胸部X線画像を確認する医師。AI導入後も、最終的な判断は医師が行う。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 肺がん検診の胸部X線画像から、異常所見の疑いが低い画像をAIが見分け、医師の読影を支援するプログラムが京都府内で本格導入される。

 京都府医師会、プリファードネットワークス(Preferred Networks)、PSPが共同開発した。2025年度に宇治市の肺がん検診で実証利用され、2026年度から京都府内で実施される肺がん検診に導入される。

異常の疑いが低い画像に「No Findings」と表示

胸部X線画像診断支援プログラムが、異常所見の疑いが低い画像に「No Findings」と表示している読影端末の画面。
AIが胸部X線画像を解析し、異常所見の疑いが低い場合に読影端末上で「No Findings」と表示する画面例。(出典:PSP)
  • 唾液に含まれ、睡眠やストレスなど心身の状態と関連する分泌型IgAを測定するデバイスを開発した。
  • 専用センサーに唾液1滴を載せると、約10分で測定結果をスマートフォンから確認できる。
  • キリングループの従業員30人が日常生活で使用し、測定が生活習慣を振り返るきっかけになるかを調べた。

 肺がん検診では、比較的短時間で撮影でき、費用も抑えやすい胸部X線検査が広く使われている。

 一方で、検診では多数の画像を確認する必要がある。見落としを防ぐため、ガイドラインでは2人以上の医師が画像を読む多重読影が推奨されており、読影を担う医師の確保や業務負担が課題となっている。

 今回の診断支援プログラムは、胸部X線画像の中から、異常所見の疑いが低い画像をAIが推定する仕組みだ。疑いが低いと判断した場合、医師が使う読影端末に、異常所見の疑いが低いことを示す「No Findings」と表示する。

 従来の画像診断支援AIには、異常所見の疑いが低い画像でも、異常の疑いがあると判断することが多いという課題があった。

 今回のAIは、京都府医師会が収集し、医師が診断した胸部X線画像を使って開発された。異常所見を含まない正常例を特に多く学習させた、プリファードネットワークス独自のAIモデルを採用している。

 プログラムは、京都府医師会とプリファードネットワークスの協力を受けてPSPが医療機器認証を取得した。

2人の医師による読影を維持し、確認作業を支援

胸部X線検査で、医療従事者が受診者の姿勢を整えている様子。
肺がん検診などで行われる胸部X線検査。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 測定結果に「ある程度納得できた」と答えた人は約7割だった。
  • 測定をきっかけに、自分の状態や原因を考えるようになった人は約9割に上った。
  • 何らかの改善行動を複数回行った人も約9割で、生活習慣を見直すきっかけになる可能性が示された。

 AIを導入した後も、2人の医師が胸部X線画像を確認する従来の読影体制は変わらない。医師は「No Findings」などの解析結果を参考にしながら画像を読み、最終的な判断を行う。

 AIが異常所見の疑いが低い画像をあらかじめ示すことで、読影時の判断を支援し、医師の業務負担を軽減する狙いがある。

 京都府医師会によると、肺がん検診などを担う読影医の高齢化が進んでいる。AIを活用して読影を支援することで、若手医師が検診に参加しやすい環境を整え、中長期的に読影体制を維持することを目指す。

 また、読影の質を均一に近づける「質的な均てん化」や、読影精度の継続的な向上も重視している。

 プリファードネットワークスはAIモデルの開発を担った。PSPは、医療機関で画像を保存および管理する医用画像管理システム(PACS)の開発と販売を主力事業としている。

 3者は、AIによる診断支援を通じて、中長期的な読影体制の維持と読影精度の向上につなげるとしている。

参考文献

京都府内の肺がん検診にAI技術を用いた胸部X線画像診断支援プログラムを本格導入(PSP、京都府医師会、Preferred Networks)
https://www.psp.co.jp/news/20260608_news_release.html

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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