研究

心電図1枚から約2秒で心房細動リスクをAIが判定、藤田医科大学と岐阜ハートセンターが報告

665人のデータで検証、高リスク群ほど心房細動が多く、健診や外来での早期発見に期待

心電図検査で出力された記録紙を医療従事者が確認している様子。
心房細動は通常の診察では見つかりにくい場合があり、心電図を用いたリスク評価の活用が期待される。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 健康診断や外来で撮った1枚の心電図から、AIが約2秒で「心房細動のリスクが高いか」を評価する──。そんな仕組みの実臨床での有用性が検証された。

 藤田医科大学と岐阜ハートセンターの研究グループが2026年8月に報告した。

心房細動が出ていない心電図からリスクを探る

胸に電極を装着した患者の心電図記録紙を、手袋を着けた医療従事者が確認している様子。
12誘導心電図をAIで解析し、心房細動の早期発見を補助する可能性が検証された。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 一般的な12誘導心電図1枚をAIが約2秒で解析し、心房細動リスクを4段階で評価する。
  • 藤田医科大学ばんたね病院と岐阜ハートセンターの2施設で、40歳以上の665人を対象に実臨床で検証した。
  • 検査時に心房細動が出ていない通常の心電図からでも、将来のリスクにつながる特徴を捉えられるかを調べた。

 心房細動は、心臓の一部である心房が不規則に速く動く不整脈で、脳梗塞や心不全につながることがある。一方で、自覚症状が乏しかったり、発作的に起きたりするため、通常の診察では見つからないまま経過する場合もある。

 そのため、心房細動が起きている瞬間を捉えるだけでなく、「心房細動のリスクが高い人」を日常診療の中から見つけることが課題になっている。

 研究グループが検証したのは、心臓の電気の流れを12方向から記録する一般的な心電図検査にAIを組み合わせた心電計「FCP-9900」。 藤田医科大学ばんたね病院と岐阜ハートセンターの2施設で、40歳以上の665人を対象に解析した。

 今回調べたのは、検査した時点では心房細動が起きていない通常の心電図からでも、AIが心房細動のリスクを見分けられるかという点だ。

 AIは1枚の心電図を約2秒で解析し、心房細動リスクを「低い(Low)」「やや低い(Mid-Low)」「やや高い(Mid-High)」「高い(High)」の4段階に分類する。

 これまでの研究は、開発中のAIを使って「心房細動のリスクをどこまで見分けられるか」を確かめるものが中心だった。今回は、実際の病院で使われているAI搭載心電計を使い、診療の中で役立つかを2つの医療機関で確かめた。

高リスク群では心房細動との関連が約3.5倍

医師がタブレットに表示された心電図波形を見ながら記録している様子。
AIを用いて通常の心電図から心房細動リスクを評価する研究が報告された。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • AIの判定が高リスクになるほど、実際に心房細動を有する人の割合も高くなった。
  • 最も高いリスク群では、最も低い群に比べ、心房細動を有することとの関連が約3.5倍だった。
  • 年齢や病歴などの従来の臨床情報とAIの判定を組み合わせることで、心房細動の発見を補助できる可能性が示された。

 解析の結果、AIによる判定が高リスクになるほど、実際に心房細動を有する人の割合も高くなった。

 最もリスクが高い「高い(High)」群では、最も低い「低い(Low)」群に比べ、心房細動を有することとの関連を示すオッズが約3.5倍高かった。AIが、通常の心電図に含まれる目では捉えにくい特徴を利用して、心房細動リスクを評価している可能性が示された。

 研究グループは、AIの判定だけで心房細動のリスクを評価するのではなく、年齢や病歴などから算出する従来のリスク指標と組み合わせた場合も調べた。その結果、AIが心電図から読み取った情報を従来の臨床情報に加えることで、心房細動のリスク評価を補える可能性が示された。

 健康診断や一般外来では、12誘導心電図が日常的に使われている。そこにAIによる約2秒の解析を加えれば、これまで心房細動が見つかっていなかった人の中から、心房細動のリスクが高い人を効率よく見つける手がかりになる可能性がある。

参考文献

1枚の心電図からAIが心房細動リスクを瞬時に評価 —実臨床665例で有用性を検証—(藤田医科大学)
https://www.fujita-hu.ac.jp/news/vsfo8q00000216fy.html

Matsuo K, Sobue Y, Miyake T, Takeda K, Watanabe E, Matsuo H, Izawa H. AI-ECG Risk Stratification for Atrial Fibrillation: Real-World Performance and Explainability. JACC Adv. 2026 Aug;5(8):103036. doi: 10.1016/j.jacadv.2026.103036. Epub 2026 Jul 22. PMID: 42485714; PMCID: PMC13425855.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42485714/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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