帯状疱疹ワクチンを接種した人では、心筋梗塞や脳卒中、心不全などの重い心臓や血管の病気のリスクが低下することが示された。
米カリフォルニア大学リバーサイド校の研究グループ2026年3月に報告した。
帯状疱疹の予防に意外な効果
上腕へのワクチン接種のクローズアップ。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 帯状疱疹は皮膚症状だけでなく、心筋梗塞や脳卒中などのリスク上昇とも関連している。
- 研究では、50歳以上の動脈硬化性心疾患患者を対象に、接種者と未接種者を比較した。
- 接種後1カ月から1年の主要心血管イベント発生率を調べ、ワクチンの影響を検討した。
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが体内で再活性化することで生じる病気で、痛みを伴う発疹や長引く神経痛を引き起こすことで知られている。
一方で、この感染症では、血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳卒中、静脈血栓塞栓症などのリスクを高める可能性も指摘されてきた。
こうした背景から、帯状疱疹を予防するワクチンが、結果として心血管イベントの抑制にもつながるのではないかと注目されている。
今回、研究グループは、2018年から2025年までの米国医療データベース「TriNetX」を用い、50歳以上で動脈硬化性心疾患を有する人を解析した。
対象は、帯状疱疹ワクチン(商品名シングリックスまたはゾスタバックス)を少なくとも1回接種した12万3411人と、帯状疱疹ワクチン未接種の同数の比べるためのグループ。両方のグループは性別や年齢などの人口統計学的背景や併存する病気ができるだけ近くなるように調整された。
研究者らは、接種1カ月後から1年後までの期間に発生した主要心血管イベントを評価し、ワクチン接種の有無による差を検討した。既に心血管疾患を有するリスクの高い集団に絞って検証している。
禁煙に近いインパクト
ワクチンの薬液を注射器に準備する様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 接種群では、心筋梗塞や脳卒中、心不全など調べた全項目でリスク低下が見られた。
- 重い心血管疾患は46%、原因を問わない死亡は66%低下し、大きな効果が示された。
- ただし観察研究のため、健康行動などの影響が残る可能性があり、長期効果は今後の検証が必要だ。
解析の結果、帯状疱疹ワクチンを接種したグループでは、心筋梗塞や脳卒中など、調べたすべての項目でリスクの低下が見られた。
具体的には、心筋梗塞や脳卒中、心不全などを含む重い心臓や血管の病気は46%少なく、死因を問わない死亡も66%少なかった。さらに、心筋梗塞は32%、脳卒中は25%、心不全は25%少なかった。
こうした低下の幅はかなり大きく、研究を発表したグループは、禁煙によって期待される効果に近い可能性があるとしている。
これまでの研究でも、一般の健康な成人でも、帯状疱疹ワクチンの接種で心臓や血管の病気のリスクが23%低下する可能性が示されていた。今回の結果は、もともとリスクが高い動脈硬化性心疾患の患者では、より大きな効果が見られる可能性を示した。
ただし、この研究は観察研究であり、ワクチンを受けた人はもともと健康に気をつかう傾向がある可能性もある。研究チームは、健康行動や経済状況などの影響をある程度調整したが、帯状疱疹を防ぐこと自体の効果を実際より大きく見積もっている可能性は残るとしている。
また、調べた期間は接種後1年間に限られており、一生を通じた影響については今後さらに確認が必要だ。
同ワクチンは、別の研究では、認知機能や認知症との関連も報告されている。ワクチン接種の意義が、複数の観点から注目される可能性がある。