スイスで、50歳未満の大腸がんが増えていることが示された。
ジュネーブ大学などの研究グループが2026年4月に発表した。
「若い世代」の約5900人を分析
スイスの山岳地域に広がる街並みとマッターホルン。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
スイスの全国データを用いて、20~49歳で発症する「早期発症大腸がん」5928例が分析された。
50歳未満の大腸がんは、男性で年0.46%、女性で年0.49%のペースで増加していた。
増加が目立ったのは直腸がんで、20~49歳では診断時点でステージ4の割合も高かった。
大腸がんは世界的に多いがんの一つ。一般には年齢が高い人に多い病気と考えられてきたが、50歳未満で発症する大腸がんが注目されている。
今回の研究では、50歳未満で発症する大腸がんを「早期発症大腸がん」と位置づけ、20~49歳の患者を解析した。
スイスで1980年から2021年に診断された大腸がん9万6410例のうち、20~49歳の患者は5928例で、全体の6.1%だった。この年齢層の平均診断年齢は42.6歳と報告されている。
解析の結果、20~49歳で診断される大腸がんは、男性で年0.46%、女性で年0.49%のペースで増えていた。一方、50歳以上では大腸がんの発生は減少していた。
スイスでは、家族歴など特別なリスクがない人への大腸がん検診は、主に50歳以上を対象に行われている。そのため、50歳以上で大腸がんが減っている背景には、検診の普及が影響している可能性がある。
部位別に見ると、増加が目立ったのは直腸がんだった。20~49歳では、男女ともに直腸がんが増えていた。さらに、20~49歳の女性では、右側の結腸がんに当たる近位結腸がんも増えていた。
もう一つ重要なのは、20~49歳では進行した状態で見つかる割合が高かった点だ。
2010年から2021年のデータでは、20~49歳で診断された大腸がんの27.7%が、診断時点でステージ4。これに対して、50~74歳では22.1%、75歳以上では19.4%だった。
50歳未満では、大腸がんが疑われにくいこともあり、血便や腹痛などの症状があっても、診断まで時間がかかる可能性がある。進行してから見つかる割合が高い背景には、こうした遅れが関係していると考えられる。
50歳未満の大腸がん増加は他国でも
大腸がん検診票に記入する場面。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
日本を含む国際研究でも、50歳未満で増えているがんの一つとして大腸がんが報告されている。
増加の背景には、食生活や生活習慣の変化、肥満、運動不足、腸内細菌、環境要因などが関係する可能性がある。
50歳未満でも、血便や便通の変化、腹痛、原因不明の体重減少などが続く場合は、医療機関に相談することが重要になる。
同じような傾向は世界的にも報告されている。PREVONOで紹介した国立がん研究センターなどの国際研究では、50歳未満で増えているがんの一つとして大腸がんが挙げられていた。大腸がんは、女性だけでなく男性でも、50歳未満で増えているがんの一つとして示されていた。
また、PREVONOで以前紹介した米国国立がん研究所の研究でも、30~39歳と40~49歳で大腸がんが増えていると報告されていた。この2つの年齢層では、大腸がんによる死亡率の上昇も確認されていた。
50歳未満の大腸がんが増えている理由は、まだ一つに絞られていない。
スイスの研究では、食生活や生活習慣の変化、肥満、運動不足、超加工食品の摂取、糖尿病、腸内細菌、若い頃からの環境要因などが関係する可能性が挙げられている。ただし、現時点で単一の原因が明らかになったわけではない。
大切なのは、症状を年齢だけで軽く見ないことだ。注意すべき症状としては、血便、便通の変化、腹痛、原因不明の体重減少、鉄欠乏性貧血などがある。50歳未満でも、こうした症状が続く場合は医療機関に相談することが重要になる。
日本の大腸がん検診は、40歳以上を対象として年1回実施するとされている。一方で、米国では、大腸がん検診の開始年齢が45歳に引き下げられている。スイスの研究でも、50歳未満での増加や、進行して見つかる割合の高さを踏まえ、検診開始年齢や症状への対応を考える必要性が示されている。
50歳未満だから大腸がんではないと決めつけず、血便や便通異常などが続く場合に受診につなげることは、日本でも重要な視点といえる。