コラム

メディカル ジャパン東京2026、がんリスク検査の新たな動き

健診・人間ドックEXPOが初開催、マイクロRNAや血液中の17元素に着目した検査も

メディカル ジャパン東京2026の展示会場を見渡した風景。多数の出展ブースが並び、来場者が行き交う。
幕張メッセで開催された「メディカル ジャパン東京2026」の会場。医療や健診などの分野から出展が集まった。(撮影:編集部)

 MCED(Multi-Cancer Early Detection、多がん種早期検出)に関連した研究、血液中のマイクロRNAや尿を使ったがんリスク評価──。2026年10月7~9日、千葉県の幕張メッセで開催された国内最大級の医療・介護総合展「第9回 メディカル ジャパン 東京」では、新しいがんリスク検査も紹介されていた。

 今回新設された「第1回 健診・人間ドックEXPO」では、血液や尿を使ってがんリスクを調べる検査などが見られた。

血液中のマイクロRNAで肺がん・胃がんのリスクを評価

MiRXESの展示ブース。マイクロRNAを測定するがんリスク検査を紹介し、胃がん向け「GASTROClear」のパネルが掲示されている。
MiRXES Japanの展示。社長を務めるユン・リハン氏。血液中のマイクロRNAを用いるがんリスク検査「GASTROClear」などを紹介していた。(撮影:編集部)

 採血でがんリスクを調べる検査が世界的に注目される中、会場ではマイクロRNAに着目した検査も紹介されていた。

 シンガポール発祥のバイオテクノロジー企業の日本法人、ミレックサスジャパン(MiRXES Japan)は、肺がんリスク検査「LUNGClear(ラングクリア)」と胃がんリスク検査「GASTROClear(ガストロクリア)」を紹介した。

 マイクロRNAは、遺伝子の働きを調節する小さなRNAで、がんなどの病気との関連が研究されている。

 同社の検査では、約5mLの採血で得られた血液から、がんに関連する複数のマイクロRNAを測定し、リスクを評価する。結果は低リスク、中リスク、高リスクの3段階で示される。

 肺がん向けのラングクリアでは、マイクロRNAに加えて腫瘍マーカーのCEAも測定する。胃がん向けのガストロクリアでは、胃がんに関連するマイクロRNAを調べる。

 いずれも血液中の遺伝子関連物質を手がかりにする検査で、肺がんと胃がんをそれぞれ個別に評価する。

 1回の採血で複数のがんを調べる「MCED」の研究開発が進んでいる。早期がんの検出感度の向上が課題となる中、肺がんや胃がんなど個別のがんを対象とする検査も登場し、血液を使ったがんリスク評価の選択肢が広がっている。

 一方で、同社はナガワ薬品と提携し、マイクロRNAにより15種類のがんリスクを調べられる「ZENClear(ゼンクリア)」という検査も紹介していた。

ブルーインダストリーズの「bluedrop」展示ブース。尿中マイクロRNAによる7種類のがんリスク評価を紹介するパネルと製品資料が並ぶ。
尿中マイクロRNAを分析する「bluedrop」の展示。7種類のがんリスクを評価する検査として紹介されていた。(撮影:編集部)

 血液だけでなく、尿を使って複数のがんリスクを評価する検査も紹介されていた。

 国内のブルーインダストリーズ(Blue Industries)は、尿中のマイクロRNAを分析する「bluedrop(ブルードロップ)」を展示した。同社は筑波大学発のベンチャーとして設立された企業だ。

 同社によると、尿に含まれるマイクロRNAを分析し、膵臓がん、肺がん、大腸がん、肝臓がん、乳がん、前立腺がん、子宮がんの計7種類についてリスクを評価する。性別によって対象は異なり、男性は5種類、女性は6種類となる。

 自宅で採取した尿を郵送するだけで検査を受けられる点が特徴だ。採血が不要な検査として、健診や人間ドックなどでの利用も考えられる。

血液中の元素を調べる検査も

メディカル ジャパン東京2026に出展したレナテックの「メタロ・バランス検査」の展示ブース。血液中の17種類の元素を分析し、がんリスクを評価する検査を紹介。
レナテックが紹介した「メタロ・バランス検査」。血液中の17種類の元素濃度を分析し、男性6部位、女性9部位のがんリスクを評価する。(撮影:編集部)

 レナテック(RENATECH)は、血液中の17種類の元素の濃度を分析する「メタロ・バランス検査」を紹介していた。ナトリウム、カルシウム、鉄、亜鉛などの元素濃度の組み合わせから、男性では6部位、女性では9部位のがんリスクを評価するという。2019年から提供されている検査で、同社が申し込みを受け付け、提携する医療機関で採血する仕組みとなっている。

 健診や人間ドックで使われる検査の選択肢が増えつつある中で、こうした新しい技術が既存のがん検診をどこまで補えるのかが、今後の課題となる。

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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