血液中の細胞遊離DNA(cfDNA)などを解析し、がんに関連するシグナルを検出する技術が研究されている。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
1回の採血で複数のがんの兆候を調べる「多がん種早期検出(MCED)」が注目される中、米国ではMCED血液検査の承認審査が進んでいる。
米国の医療検査企業グレイル(GRAIL)は2026年9月23日、同社が開発したMCED血液検査「Galleri(ギャレリ)」について、米国食品医薬品局(FDA)の諮問委員会が製造販売承認を支持したと発表した。
安全性は全員一致、有効性は6対4で支持
血液中のDNAを解析する技術は、複数のがんの兆候を調べる多がん種早期検出(MCED)検査にも活用されている。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- ギャレリは、1回の採血で50種類以上のがんに関連するシグナルを調べ、がんの発生部位も推定するMCED検査。
- FDA諮問委員会では、安全性を10人全員が支持。有効性は6対4、利益がリスクを上回るかは7対2で支持された。
- 諮問委員会の判断は最終承認ではなく、FDAが今後、提出されたデータなどを踏まえて承認の可否を判断する。
ギャレリは、血液中の細胞遊離DNA(cfDNA)に見られるメチル化パターンを解析し、50種類以上のがんに関連するシグナルを調べる検査だ。がんの兆候が検出された場合には、その発生部位も推定する。50歳以上を対象に、既存のがん検診を補完することを目指している。
グレイルは2018年にFDAからブレークスルーデバイス指定を受け、2026年1月に承認申請を提出した。
今回、FDAの諮問委員会では、委員10人全員が安全性を支持。有効性は6人が支持し、4人が反対した。さらに、検査の利益がリスクを上回るかという点については、7人が支持、2人が反対、1人が棄権した。
グレイルによると、ギャレリについては北米や英国の臨床研究が実施されてきた。
諮問委員会の判断はFDAへの助言であり、最終承認を意味するものではない。FDAは今後、提出されたデータなどを踏まえて判断する。
米国では既にMCED検査が提供されているが、FDAの承認を受けたものはまだない。承認されれば、医療機関での採用が進み、将来的な保険適用につながる可能性もある。普及に向けた重要な動きとして注目される。
日本でもMCEDの適正利用を検討
- 日本でも血液や尿を使った複数のがんリスク検査が、自費診療として提供されている。
- 日本癌治療学会は2026年9月、MCED検査の適正な臨床利用に関する見解書の草案を公表し、意見を募集した。
- MCEDには既存のがん検診を補完する可能性がある一方、偽陽性や偽陰性の問題もあり、利益の検証と適正利用の検討が求められる。
MCEDについては、国内外で新しい検査の研究開発や商用提供が進んでいる。日本でも血液や尿などを使う複数のがんリスク検査が自費で提供されている。
こうした動きを受け、日本癌治療学会は2026年9月、「多がん種早期検出(MCED)検査の適正臨床利用に関する見解書」の草案を公表し、意見を募集した。PREVONOでも、この動きを既報で紹介している。
MCEDは従来のがん検診を補完する可能性がある一方、偽陽性による不要な精密検査や、偽陰性によるがんの見逃しなどの問題もある。今後、実際の検診でどのような利益が得られるかの検証とともに、適正な利用方法についての議論が重要になる。