日本

てんかん診断、脳波を自宅で測る時代へ

京都大学などがウエアラブル脳波計「ポリメイトGo」を開発

頭部に装着するウェアラブル脳波計「ポリメイトGo」と測定機器。
産学連携で開発・製品化されたウェアラブル脳波計「ポリメイトGo」。(出典:京都大学)

 自宅など、普段の生活に近い環境で脳波を測るための新しい医療機器が開発された。

 京都大学、神戸大学、ミユキ技研の研究グループが、ウエアラブル脳波計「ポリメイトGo」を共同開発し、2026年5月に発表した。

てんかん診断で課題だった長時間の脳波測定

脳と神経活動を表す青色の人物横顔のイラスト。
脳の活動や脳波測定を表した図。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • てんかんの診断では脳波検査が重要だが、短時間の検査では異常が見つからないことがある。
  • 睡眠中に異常波が出やすい場合、夜間を含めた長時間の脳波測定が必要になる。
  • 京都大学、神戸大学、ミユキ技研が共同開発した「ポリメイトGo」は、長時間測定の負担を減らす小型・軽量の脳波計として実用化された。

 てんかんの診断では、脳波検査が重要になる。脳の電気的な活動を記録し、発作や異常な波が出ていないかを調べる検査だ。

 ただし、てんかんの異常は、短時間の検査では見つからないことがある。特に睡眠中に発作や異常波が出やすい場合、夜間を含めて長く測る必要がある。

 これまでは、医療機関に入院し、多くの電極を付けて終夜ビデオ脳波を測ることが必要になる場合があった。患者にとっては、体への負担だけでなく、入院や慣れない環境で検査を受ける心理的な負担も大きい。

 今回開発された「ポリメイトGo」は、こうした課題に対応するための小型で軽量な脳波計となる。

 医療機器として認証され、2026年4月1日から保険適用の対象となった。研究成果が、実際に医療現場で使える機器として実用化された形になる。

睡眠中や在宅での検査への応用

手に持たれた赤いヘルプマークのタグ。
援助や配慮を必要としていることを知らせるヘルプマーク。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • ポリメイトGoは、脳波に加えて呼吸、筋肉の動き、目の動き、心電図なども同時に記録できる。
  • 小型で軽く、電池で長時間動くため、睡眠中や自宅など生活に近い環境での測定に応用しやすい。
  • 医療機器として認証され、2026年4月から保険診療で使えるようになり、てんかん診断や夜間せん妄の評価への活用が期待される。

 ポリメイトGoは、頭に付けた小型の電極で脳波を測る装置だ。脳波だけでなく、呼吸、筋肉の動き、目の動き、心電図なども同時に記録できる。

 小型で軽く、体の動きや周囲の雑音の影響を受けにくいように設計されている。電池で長時間動くため、夜に眠っている間の脳波測定にも使いやすい。

 研究グループは、頭にかぶる帽子のような専用装具も開発した。脳波を測る小型電極を頭に固定し、睡眠中に体を動かしても外れにくい構造になっている。長時間の測定でも負担を抑えながら、安定して脳波を記録できるよう工夫されている。

 ポリメイトGoは、医師の管理下で臨床使用される医療機器として位置づけられている。一方で、終夜計測を想定した設計で、自宅などの生活環境でも脳波を継続的に取得できるシステムとしての運用が期待されている。患者が自分で自由に使う家庭用機器ではなく、医療機関や医師の管理のもとで在宅脳波測定に応用されるものと考えられる。

 てんかんの診断だけでなく、高齢者の夜間せん妄など、夜間に起こる意識の変化を調べる用途にも応用が期待される。

 脳波検査が自宅や地域医療に広がれば、患者の負担を減らしながら、生活に近い状態で脳の変化を捉えられる可能性がある。ポリメイトGoは、その実現に向けた新しい医療機器として注目される。

参考文献

ウェアラブル脳波計システム「ポリメイトGo」を産学連携で共同開発・製品化―てんかん診断を容易にする在宅脳波測定への応用を可能に―(京都大学)
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2026-05-19-0

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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