若い世代で発症する大腸がんの増加が、ドイツでも確認された。
今回のドイツのデータで特徴的なのは、20代と30代の大腸がんが増えていることだ。
ドイツがん研究センター(DKFZ)などの研究グループは、2003年から2023年までのがん登録データを分析し、50歳未満で発症する大腸がんの動向を調べた。研究成果は2026年6月に発表された。
40代では増えず
ドイツを応援するサポーター。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
ドイツのがん登録データで、20〜49歳に診断された大腸がん2万8000例以上が分析された。
50歳未満の大腸がんは、男性で年平均0.8%、女性で年平均0.9%増えていた。
増加は20代と30代で確認された一方、40〜49歳では全体として大きな増加は見られなかった。
大腸がんは一般に高齢者に多いがんとされる。一方で、最近、50歳未満で発症する「若年発症大腸がん」が、米国などで増えていることが問題になっている。
今回の研究では、ドイツの10のがん登録データを用い、20歳から49歳までに診断された大腸がん2万8000例以上を分析した。
その結果、50歳未満の大腸がんは、男性で年平均0.8%、女性で年平均0.9%増えていた。
年齢別に見ると、増加が確認されたのは20代と30代だった。20〜29歳では男性で年平均3.3%、女性で3.9%、30〜39歳では男性で2.2%、女性で2.0%増えていた。
一方、40〜49歳では全体として大きな増加は見られなかった。
虫垂がんについては別に分析され、50歳未満のすべての年齢層で増加していた。
研究グループは、ドイツでも若年発症大腸がんの増加は実際に起きていると見る一方、その水準は米国より低く、増え方も緩やかだったとしている。
増加の理由はまだ分かっていない。肥満、運動不足、食生活、超加工食品の摂取、抗菌薬の使用、腸内細菌叢の変化などが関係する可能性がある。
早期診断や診断技術の向上の影響である可能性も
ドイツ国旗を掲げる若者たち。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
比較的進行しにくい腫瘍や小さな腫瘍、悪性度の低い腫瘍で増加が目立ち、診断技術の向上が影響している可能性もある。
研究者らは、現時点でドイツの一般集団の大腸がん検診開始年齢を50歳未満に一律に下げる根拠は十分ではないとしている。
若い人でも血便や便通異常など気になる症状がある場合や、家族歴などリスクが高い場合は、早めに医療機関へつなげることが重要になる。
一方で、早期診断や診断技術の向上によって、見つかる数が増えた部分もあると考えられている。
実際、今回の研究では、比較的進行しにくい腫瘍や、小さな腫瘍、悪性度の低い腫瘍で増加が目立つ傾向も示された。これは、病気そのものが増えている可能性と、早く見つかるようになった影響の両方を考える必要があることを示している。
研究者らは、現時点でドイツの一般集団に対する大腸がん検診の開始年齢を50歳未満に一律に下げる十分な根拠はないとしている。ドイツでは50歳未満の大腸がんは全体としてまだまれで、年間約5万6000件の新規大腸がんのうち、50歳未満は約5%にとどまるためだ。
ただし、若い人でも気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診することが重要になる。また、家族歴がある人など、リスクが高い人には推奨される検査を確実に届ける必要がある。
PREVONOでは以前、国立がん研究センターなどの国際共同研究として、44の国と地域で50歳未満のがんを分析した研究を紹介した。そこでも、大腸がんは複数の国で罹患率と死亡率の上昇が確認されたがんの一つだった。今回のドイツの研究は、若年発症大腸がんの増加が国際的に注目される中で、国や地域によって増加の程度や背景が異なる可能性を示している。