研究

口腔咽頭がん、喫煙と飲酒歴に「歯の少なさ」が重なるとリスク上昇

死亡リスクの増大を東京科学大学などが報告

歯科医師が歯の模型を使って治療内容を説明している様子
歯の模型を使って治療内容を説明する様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 喫煙や飲酒の経験があり、しかも歯の本数が少ない人では、口腔咽頭がんのリスクが高いことが示された。

 東京科学大学、東北大学、浜松医科大学、日本福祉大学、千葉大学の研究グループが2026年3月に報告した。

喫煙や飲酒の経験と口の健康の関連は?

白い歯の立体イメージと一部が赤く示された部分
歯の構造や異常部位を示したイメージ。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 研究グループは、喫煙歴や飲酒歴に加え、歯の本数が口腔咽頭がん死亡とどう関わるかを検証した。
  • 対象は2010年時点で65歳以上の自立高齢者3万9882人で、12年間にわたり口腔咽頭がん死亡を追跡した。
  • 喫煙、飲酒、歯の本数の情報を基に、死因別死亡データと照合して死亡リスクとの関連を統計的に推定した。

 喫煙や飲酒の経験があると、口腔咽頭がんの死亡リスクにつながることがかねて知られていた。

 これに加えて、今回、研究グループは、口の中の健康、とりわけ歯を失うことが、このリスクにどのように関連するのかに着目。日本の自立した高齢者を追跡調査することで、喫煙と飲酒歴に加えて歯の本数が口腔咽頭がん死亡にどう関わるかを検証した。

 対象としたのは、日本老年学的評価研究(JAGES)に参加した2010年時点で65歳以上の自立高齢者3万9882人。調査開始時点で、喫煙歴、飲酒歴、歯の本数を把握し、その後12年間にわたる口腔咽頭がん死亡を追跡した。対象者の平均年齢は73.7歳で、男性は46.8%。

 研究グループは、厚生労働省の死因別の死亡データと付き合わせて、喫煙と飲酒歴および歯の本数と死亡リスクとの関連を統計的に推定した。

歯が少ない人では喫煙と飲酒の影響がより顕著に

女性が指で歯ぐきを触れて状態を気にしている様子
歯ぐきの違和感を確認する様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 追跡期間中、対象者の0.2%が口腔咽頭がんで死亡し、喫煙と飲酒の経験がある人では死亡リスクが2.87倍だった。
  • 歯の本数が0~19本の人に限ると、喫煙と飲酒経験がある人の死亡リスクは4.77倍に上昇した。
  • 喫煙、飲酒、口腔保健を関連するリスクとして捉え、歯科や地域保健で継続的に見守る重要性が示された。

 追跡期間中、対象者のうち0.2%が口腔咽頭がんで死亡した。

 解析の結果、喫煙と飲酒の経験がある人は、非喫煙、非飲酒者と比べて、口腔咽頭がん死亡リスクが2.87倍高かった。喫煙と飲酒の組み合わせが強いリスクであることが改めて確認された。

 さらに注目されるのは、歯の本数によってその関連の強さが変わった点だ。歯の本数が0~19本の人に限定すると、喫煙と飲酒経験がある人の口腔咽頭がん死亡リスクは、非喫煙、非飲酒者の4.77倍となった。単に喫煙と飲酒の有無だけでなく、歯の少なさが重なることで死亡リスクが一層高まる可能性が示された。

 喫煙、飲酒、口腔保健を別々に扱うのではなく、関連し合うリスクとして把握して、歯科医院や地域の保健活動の中で見守ることが重要だという。該当する人への検診や健康教育を続けることが求められそうだ。

参考文献

喫煙・飲酒に加え、「歯が少ない」ことが口腔咽頭がん死亡リスクを増大(東京科学大学)
https://www.isct.ac.jp/ja/news/5li45551k7vc

Kiuchi S, Matsuyama Y, Takeuchi K, Kusama T, Ojima T, Saito M, Kondo K, Harada H, Osaka K, Aida J. Smoking, drinking, tooth loss and risk of oral-pharyngeal cancer mortality. Oral Oncol. 2026 Mar 16;176:107937. doi: 10.1016/j.oraloncology.2026.107937. Epub ahead of print. PMID: 41844505.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41844505/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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