研究

健診のHbA1c、約6.0%を超えると将来の医療費との関連が強まる 金沢大学が6757人を分析

BMIや腹囲との関係には男女差、3~4年後の医療費を可視化

医師が健康診断の結果用紙を示しながら、検査値について説明している。
健診結果を将来の生活習慣病リスクや医療費の予測にどう生かすかが課題となっている。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 健康診断の数値と、その数年後にかかる医療費との間には、項目や性別によって異なる関係があることが分かった。

 金沢大学の研究グループが2026年7月に論文で報告した。

健診の数値と3~4年後の医療費を分析

血糖、HbA1c、脂質、肝機能などの検査項目が並ぶ健康診断結果の用紙。
健診で測定されるHbA1cなどの数値と、数年後の医療費との関連が分析された。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 60~74歳の6757人を対象に、特定健診の結果と3~4年後の外来・入院・調剤の医療費との関係を調べた。
  • 複数年の健診を含む延べ1万1148件のデータを使い、BMI、腹囲、血圧、脂質、HbA1cなどを分析した。
  • 健診値と医療費の関係を単純な直線ではなく、数値の範囲によって変化する非線形な関係として評価した。

 特定健康診査では、BMIや腹囲、血圧、脂質、HbA1cなどが継続的に測定されている。こうした数値は生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防や早期発見に使われているが、どの程度の値から将来の医療費との関連が強まるのか、男女で違いがあるのかは十分に整理されていなかった。

 研究グループは、2012年度から2022年度までに特定健康診査を受けた60~74歳の6757人を対象に、健診結果とその後の医療費が分かるレセプトデータを組み合わせて分析した。複数年にわたって健診を受けた人もいるため、分析した健診記録は延べ1万1148件となった。

 こうしたデータを基に、健診時の数値が、健診から3~4年後の外来、入院、調剤の医療費とどのように関係するのかを調べた。数値と医療費の関係を単純な直線ではなく、値の範囲ごとの変化として捉えられる統計手法を使って分析した。

HbA1cは約6.0%超で関連強まる

診察室で医師が受診者の背中に聴診器を当てて診察している。
健診データを活用し、将来の医療費や生活習慣病リスクを早めに把握する取り組みが進んでいる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 年齢とHbA1cは男女とも将来の医療費と関連し、HbA1cは約6.0%を超えると関連が強まる傾向がみられた。
  • BMIや腹囲、脂肪肝指数(FLI)と医療費との関係には男女差があり、男性では腹囲やFLI、女性ではBMIや腹囲との関連が目立った。
  • 今回示されたのはあくまで関連であり、健診値が医療費増加の直接的な原因であることを示したものではない。

 その結果、年齢とHbA1cは、男女とも将来の医療費と一貫して関連していた。特にHbA1cは、約6.0%を超えると、医療費との関連が強まる傾向が見られた。

 BMIや腹囲、脂肪肝指数(FLI)についても将来の医療費との関連が確認されたが、その現れ方には男女差があった。男性では腹囲やFLIとの関連が比較的強く、女性では、BMIや腹囲の値が高くなるにつれて、医療費との関連が強まる傾向が示された。

 今回の研究の特徴は、健診結果を単純に「正常」「異常」と分けるのではなく、どの数値の範囲で将来の医療費との関連が強くなるのかを可視化した点にある。

 今回示されたのは健診値と医療費との「関連」で、HbA1cや腹囲の値が医療費増加の直接的な原因であることを示したものではない。また、対象は60~74歳に限られている。

 研究グループは今後、疾病情報や処方薬、医療利用歴、生活習慣などの情報も組み合わせ、より包括的な健康リスク評価モデルの構築を目指すとしている。地域に蓄積された健診や医療のデータを、生活習慣病予防や保健事業にどう生かすかを考える上で、今回の結果は基礎的な知見となりそうだ。

参考文献

健診データと国保データベースを用いて将来の医療費との関連を可視化 ―HbA1c、年齢、腹囲などと医療費との非線形な関係および男女差を解明―(金沢大学)
https://www.kanazawa-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2026/09/20260917_karashima.pdf

Nakamura H, Harada K, Hirako K, Sawamura T, Imamura K, Sagae M, Nambo H, Karashima S. Nonlinear modeling of health checkup factors and future claims-based healthcare costs in Japan: a retrospective cohort study. Health Econ Rev. 2026 Jul 14. doi: 10.1186/s13561-026-00818-9. Epub ahead of print. PMID: 42446767.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42446767/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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