研究

肥満の見極め、BMIだけでなく「ウエスト」が重要

米国1900人を分析、腹囲だけでも実用的な判定性能

腹部に白いメジャーを巻き、ウエスト周囲を測定している人の横向きの上半身。
腹囲の測定は、BMIでは分かりにくい腹部脂肪の蓄積を評価する簡便な方法となる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 体脂肪の多さを見極めるには、BMIだけでなく「ウエスト」にも注目した方がよさそうだ。

 米ラトガース大学の研究グループは、米国の成人1900人のデータを分析し、腹囲を測るだけでも、体脂肪が多い人を見つける上で有用なことを、2026年8月に報告した。

BMIだけでは「脂肪のつき方」まで分からない

腹部にメジャーを当て、ウエスト周囲を測定している手元。
米国成人のデータ解析では、腹囲だけでも体脂肪が多い人を見つける実用的な指標になり得ることが示された。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • BMIは身長と体重から簡単に計算できる一方、筋肉と脂肪の違いや、脂肪がどこにつくかまでは分からない。
  • 特に腹部の脂肪は糖尿病や心臓病、脳卒中などと関係するため、腹囲を加えて評価する考え方が広がっている。
  • 研究では米国の成人1900人を対象に、BMIや腹囲など複数の指標をDEXAによる体脂肪量と比較した。

 肥満の判定で広く使われているのがBMIだ。体重を身長の2乗で割って求める指標で、身長と体重だけで簡単に計算できる。

 一方、BMIには限界もある。体重が同じでも、筋肉が多い人と脂肪が多い人を十分に区別できない。また、脂肪が体のどこにつきやすいかも分からない。

 特に腹部に脂肪が蓄積すると、糖尿病や心臓病、脳卒中などの健康問題と関係することが知られている。そのため、BMIだけでなく、腹囲などを加えて肥満を評価する考え方が広がっている。

 今回の研究では、米国の国民健康栄養調査に参加した20~59歳の1900人を対象に、いくつかの肥満判定法を比較した。

 研究グループは、BMIだけを使う方法に加え、腹囲、身長に対する腹囲の比率、ウエストとヒップの比率など複数の体格指標を取り入れた新しい肥満判定法も検討した。その上で、X線を使って体脂肪量を詳しく測る「DEXA」の結果と照らし合わせ、どの方法が肥満の人をうまく見つけられるかを調べた。

腹囲だけで71%を発見、BMIだけでは51%

ピンクの背景の前で、腹部の脂肪を手でつまむ人の上半身。
肥満の評価では、BMIだけでなく腹囲や腹部の脂肪分布を確認することも重要になる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 腹囲だけでは、体脂肪量からみた肥満の人を71.4%見つけられたのに対し、BMIだけでは51.3%だった。
  • BMIと腹囲を組み合わせた方法の感度は74.0%で、腹囲だけでもこれに近い判定性能を示した。
  • 腹囲は、BMIだけでは見逃される体脂肪の多い人を簡便に拾い上げる指標として有用と考えられた。

 分析すると、腹囲だけを使った場合、体脂肪量からみて肥満に該当する人を正しく見つけられた割合は71.4%だった。さらに、肥満ではない人を正しく「肥満ではない」と判定できた割合は91.6%だった。

 一方、BMIだけでは、肥満の人を正しく見つけられた割合は51.3%にとどまった。肥満ではない人を正しく除外できた割合は94.9%と高かったが、実際には体脂肪が多い人の約半数しか拾えていなかったことになる。

 BMIと腹囲のどちらかが基準を超えた場合に肥満とする方法では、肥満を正しく見つけられた割合は74.0%、肥満ではない人を正しく判定できた割合は89.5%だった。腹囲だけでも、これにかなり近い結果となった。

 複数の体格指標を組み合わせる新しい判定法では、肥満の人を見つけられた割合は87.7%と最も高かった。ただし、肥満ではない人を正しく除外できた割合は70.7%に下がり、肥満ではない人まで肥満と判定するケースが増えた。

 複数の指標を使う新しい方法は肥満の人をより多く拾えた一方、肥満ではない人まで肥満と判定するケースも増えた。その点、腹囲だけの方法は、肥満の人を見つける力と、肥満ではない人を正しく除外する力のバランスが良かった。

 研究グループは、複数の体格測定を行わなくても、腹囲を測るだけで肥満を見つけるための多くの情報が得られるとみている。腹囲は、BMIだけでは見逃される体脂肪の多い人を見つける簡便な手掛かりになりそうだ。

参考文献

Researchers Find That Waist Size Is a Powerful Indicator of Health Risks(Rutgers University)
https://www.rutgers.edu/news/researchers-find-waist-size-powerful-indicator-health-risks

JAMA Network Open 掲載論文
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2852541

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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