体重が増えること、しかもその時期の違いが、その後の健康を大きく左右する可能性が示された。
スウェーデンのルンド大学の研究グループが2026年4月に報告した。
17歳から60歳までの体重推移を追跡
自宅で体重を測定する様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 成人期の体重増加の程度だけでなく、どの時期に増えたかが、その後の死亡リスクとどう結びつくかを分析した。
- スウェーデンの全国規模コホート「ODDS」を用い、17~60歳で少なくとも3回体重測定を受けた男性25万8269人、女性36万1784人を解析した。
- 体重データの74%は医療者などによる実測値で、17~60歳の体重推移や肥満化の年齢、各年代の増加速度と死亡との関連を評価した。
肥満が心血管疾患や2型糖尿病、脂肪肝、一部のがんなどのリスクを高めることは広く知られている。
今回、研究グループは、17歳以降の成人期を通じた体重の増え方や、肥満に達する年齢の違いが、その後の死亡リスクとどう結びつくかに着目。体重増加の程度だけでなく時期に焦点を当てた分析を行った。
研究では、スウェーデンの全国規模コホート「ODDS」を用い、17~60歳の間に少なくとも3回の体重測定を受けた男性25万8269人、女性36万1784人を解析対象とした。
体重データは1963~2015年に集められ、医療機関、妊娠初期、徴兵時、各種コホート研究参加時などの測定値が用いられた。
全体の74%は医療者などによる実測値で、自己申告に偏りやすい従来研究に比べて客観性が高い。
解析では、17~60歳の複数回測定による体重の推移、肥満となった年齢、17~29歳、30~44歳、45~60歳の各時期の体重増加の速度を推定し、その後の全死亡および原因別の死亡との関連を評価した。
30歳未満での肥満化は早期死亡リスク約7割増
体重計に乗って測定を行う直前の様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 成人期を通じて体重増加のペースが速い人ほど、全死亡や肥満関連疾患による死亡リスクが高かった。
- 17~29歳で肥満に至った人の全死亡リスクは、60歳まで肥満にならなかった人に比べ、男性1.69倍、女性1.71倍だった。
- 女性のがん死亡では若年期だけでなく30~44歳、45~60歳の体重増加も同程度に関連し、中高年期の体重変化にも注意が必要と示された。
解析の結果、男女ともに、成人期を通じて体重増加のペースが速い人ほど、全死亡や多くの肥満関連の病気による死亡リスクが高かった。
17~29歳で肥満に至った人は、60歳まで肥満にならなかった人に比べて、全死亡リスクが男性で1.69倍、女性で1.71倍だった。
17~29歳の体重増加が年0.5kg大きくなるごとに、全死亡リスクは男性で1.18倍、女性で1.16倍に上昇した。関連が認められた死因には、心血管疾患、2型糖尿病、消化器疾患、泌尿生殖器疾患、複数のがんが含まれた。
平均すると、17~60歳の体重増加は男女とも年間0.42kgであったが、若い時期により速いペースで体重が増えた人ほど、後年のリスクは大きかった。研究チームはその背景として、若いうちに肥満になるほど、過剰な脂肪組織に伴う炎症やインスリン抵抗性、高凝固状態といった生物学的影響に長くさらされる可能性を挙げている。
一方で、女性のがん死亡では、若い時期だけでなく、30~44歳、45~60歳の体重増加も同程度に関連していた。
論文では、閉経に伴うホルモン変化や脂肪組織由来のエストロゲン、インスリン、全身性炎症などが関与している可能性に触れている。女性では中高年期の体重変化にも注意を払う必要があることを示す結果といえそうだ。
研究グループによれば、今回の研究は観察研究であるため、因果関係を示しているわけではなく、運動、食事、服薬、更年期などの関連する要因を十分に把握できていない限界もある。それでも、長期間にわたる繰り返し測定をもとに、体重増加の時期と健康影響の関係をここまで大規模に示した意義は大きい。
こうした病気や死亡リスクの観点から改めて体重の増加を考えることは重要だろう。