心不全の悪化を捉える手掛かりとなる肺動脈圧の変化を、患者自身がスマートフォンで確認できる仕組みが米国で導入される。
米アボット(Abbott)は2026年10月、心不全患者の肺動脈圧を遠隔で測定する「カーディオメムスHFシステム(CardioMEMS HF System)」に、患者向けの新機能を追加することについて、米食品医薬品局(FDA)の承認を取得したと発表した。
心不全の悪化、息切れやむくみより前に変化
心不全の悪化を早期に把握するため、肺動脈圧などの変化を継続的に確認する取り組みが進んでいる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 心不全が悪化すると、息切れやむくみなどの症状が現れる数週間前から肺動脈圧が上昇することがある。
- カーディオメムスHFシステムは、肺動脈に埋め込んだセンサーで圧力を測定し、医療チームが遠隔で状態を確認する仕組み。
- 新機能では、医療チームが許可した患者が、専用アプリを使って自分の肺動脈圧やその変化をスマートフォンで確認できる。
心不全は、心臓が全身に十分な血液を送り出せなくなる病気で、息切れや疲労、むくみなどを引き起こす。状態が悪化すると入院が必要になることもある。
今回の仕組みで注目するのが「肺動脈圧」だ。肺動脈は心臓から肺へ血液を送る血管で、心不全が悪化すると、この血管の圧力が高くなることがある。アボットによると、肺動脈圧の上昇は、息切れやむくみ、体重増加などを患者が自覚する数週間前から現れることがある。症状だけを頼りにするより早く変化を捉えられれば、悪化する前に治療を見直す手掛かりになる。
カーディオメムスHFシステムでは、小さなセンサーを肺動脈に埋め込み、患者が自宅などで肺動脈圧を測定する。これまでは測定結果を医療チームが遠隔で確認し、必要に応じて治療を調整してきた。
今回新たに、患者向けの「カルディアガイドHFアプリ(CardioGuide HF App)」を通じて、医療チームが許可した患者は自分の肺動脈圧やその変化をスマートフォンから直接確認できるようになる。
薬の調整もアプリで通知
心不全では、心臓や血管の状態を継続的に把握し、悪化の兆候を早く捉えることが重要になる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 新機能では、医療チームが設定した治療計画に基づき、薬の調整に関する指示をアプリで受け取れる。
- 薬の調整を判断するのは医療チームであり、アプリが自動的に治療を決める仕組みではない。
- 患者が肺動脈圧の変化と治療内容を確認しやすくする機能で、米国では2026年中に提供開始予定。
新機能には、薬の調整を患者に知らせる「ダイナミック・トリートメントプラン(Dynamic Treatment Plan、DTP)」も含まれる。
医師などの医療チームが、肺動脈圧の変化に応じた患者ごとの薬の調整計画をあらかじめ設定する。医療チームが治療内容の変更が必要と判断した場合、患者はカルディアガイドHFアプリを通じて医療チームから薬の調整に関する指示を受け取れる。アプリが自動的に治療を決めるわけではなく、治療計画を設定するのは医療チーム。患者が自分の肺動脈圧の変化と治療内容を確認しやすくする。
アボットは、カーディオメムスHFシステムについて、心不全による入院の減少や死亡リスクの低下が研究で示されているとしている。
カルディアガイドHFアプリとダイナミック・トリートメントプランは、米国で2026年中に提供を始める予定。