報酬を得られる「有償労働」に加えて、家事や育児、介護などの報酬を伴わない「無償労働」も含めて考える「総労働時間」が、睡眠やメンタルヘルスと関連することが分かった。
大阪公立大学の研究グループが2026年1月に報告した。
家事や育児、介護などの分担が大きな課題
家事を分担する夫婦の様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 共働き世帯の増加により、有償労働と無償労働の双方に時間を割かざるを得ない状況が広がっている。
- 生活に必要な時間を十分に確保できない状態は「時間貧困」と呼ばれ、慢性的なストレス要因となり得る。
- 40~64歳の就労者3959人を対象に、有償・無償労働と睡眠・メンタルヘルスとの関連を分析した。
共働き世帯が増える中で、報酬を得るための労働に加えて、家事や育児、介護などの報酬を伴わない無償労働の分担が大きな課題になっている。人々にとって、有償労働と無償労働の双方に時間を割かざるを得ない状況が指摘されている。
研究グループによれば、こうした生活に必要な時間を十分に確保できない状態は「時間貧困」と呼ばれている。時間貧困は、慢性的なストレスの要因になり得るとされる。
一方で、従来の研究は有償労働時間のみに着目するものが多く、無償労働を含めた総労働時間の影響は十分に検討されていなかったという。
今回の研究では、医療機関に定期通院していない40~64歳の就労者3959人(男性1900人、女性2059人)を対象にアンケートを実施し、有償労働と無償労働の実態と、睡眠をとっても休養感が得られない「非回復性睡眠」およびメンタルヘルスとの関連を分析した。
総労働時間が長いほど非回復性睡眠リスク
キッチンで家族が過ごす様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 男女ともに、総労働時間が長いほど非回復性睡眠のリスクが高かった。
- 女性では総労働時間が長いほどメンタルヘルス不調のリスクも高まったが、男性では有意な関連はみられなかった。
- 女性は無償労働の負担が大きく、総労働時間で評価することが健康影響を把握する上で重要とされた。
その結果、男女ともに総労働時間が長いほど非回復性睡眠のリスクが高いことが確認された。
さらに女性では、総労働時間が長い場合、メンタルヘルスの不調リスクも高まっていた。一方、男性では総労働時間とメンタルヘルスとの有意な関連は認められなかった。
女性は有償労働時間が男性より短いものの、無償労働に多くの時間を費やしているため、総労働時間は男性より長かった。家事への従事率は女性が約90%、男性が約40%と差があった。
研究グループは、女性は有償労働時間のみを見るよりも総労働時間も含めて見る方が、非回復性睡眠やメンタルヘルス不良を予測する上で重要な指標になり得ると指摘する。
家事や育児、介護などの無償の仕事が男女の一方に偏ることは、家庭内の問題にとどまらず、健康の格差や男女の不公平を広げる可能性があるとして、研究グループは社会的な問題ととらえている。
研究成果は2026年1月8日、社会科学と健康科学の学際領域の国際誌「Social Science & Medicine」にオンライン掲載された。