研究

早産再発リスクが酪酸菌プロバイオティクスで低下の可能性

富山大学、多施設研究で腸内環境との関連を確認

腹部を押さえながら医師の診察を受ける女性
腹部を押さえながら医師の診察を受ける女性。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 早産を経験したことのある妊婦を対象にした研究で、酪酸菌を含むプロバイオティクスが、次の妊娠での早産を防ぐのに役立つ可能性が示された。

 富山大学の研究グループが2026年2月に報告した。

自然早産の再発予防に腸内環境が関連?

大人の手で新生児の小さな足を包む様子
大人の手で新生児の小さな足を包む様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 自然早産は母子の健康に関わる重要な課題で、一度経験すると次の妊娠でも再発しやすい。
  • 安全で日常的に取り入れやすい予防法が限られる中、研究グループは酪酸菌含有プロバイオティクスに着目した。
  • 31施設が参加する多施設共同研究「PPP trial」で、自然早産経験のある妊婦345例を対象に効果を検証した。

 自然早産は、生まれてくる赤ちゃんの健康や、妊婦の健康管理に関わる大きな課題となる。

 一度自然早産を経験した妊婦は、次の妊娠でも再び早産になる可能性が高いとされる。しかし、早産を防ぐ方法はまだ限られ、安全で、日常の中で取り入れやすい対策が求められてきた。

 今回、研究グループは、こうした背景のもと、酪酸菌含有プロバイオティクスに着目した。酪酸は腸内環境の維持や炎症制御に関わる物質として知られ、妊娠維持にも何らかの影響を及ぼす可能性が考えられていた。

 研究グループは、日本早産学会に所属する医師らを中心とする31施設と連携し、多施設共同研究「PPP trial」を実施した。2021年4月から2024年9月まで、自然早産を経験した妊婦345例を登録し、酪酸菌含有プロバイオティクスによる効果を検証した。

自然早産の再発は16.0%

赤ちゃんを抱き上げて見つめ合う母親
赤ちゃんを抱き上げて見つめ合う母親。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 自然早産の再発率は16.0%で、国内の先行研究で報告された22.3%を下回った。
  • 正期産に至った妊婦では、便中の酪酸菌の割合が約5倍に増加していた。
  • 酪酸菌が腸内で十分に増えることが妊娠継続と関係する可能性が示され、早産予防の新たな選択肢として期待される。

 研究全体でみた早産率は、自然早産と人工早産の両方を合わせると14.9%。人工早産を除いて調べると、自然早産を再び経験した割合は16.0%だった。これは、国内の先行研究で報告されていた22.3%より低い。

 また、予定日に近い時期まで妊娠を続けられ、正期産に至った妊婦では、便の中に含まれる酪酸菌の割合が約5倍に増えていた。一方で、再び自然早産を経験した妊婦では、このような増加は見られなかった。こうした結果からは、単にプロバイオティクスを飲んだかどうかだけでなく、酪酸菌が腸内にしっかり増えたこと自体が、妊娠を続けることと関係している可能性がある。

 今回の結果は、自然早産の予防を考える上で、子宮や胎盤だけでなく、腸内環境にも目を向けることの大切さを示している。

 さらに詳しい研究が進めば、自然早産を再び経験する恐れのある妊婦にとって、酪酸菌を含むプロバイオティクスが早産予防の選択肢になる可能性がある。

参考文献

酪酸菌含有プロバイオティクスが自然早産を予防する可能性-多施設共同研究PPP trialの結果-(富山大学)
https://www.u-toyama.ac.jp/news-press/131407/

Yoneda S, Akamata N, Nakamura M, Kumazawa K, Sakura M, Fukuhara K, Kuribayashi M, Nagasaki S, Kodama Y, Matsui H, Suzuki T, Kirihara N, Iwamoto S, Kobayashi T, Otsuki K, Nakai A, Saito S; PPP trial Collaborators. Prevention of recurrent spontaneous preterm delivery using probiotics: results from a prospective, single-arm, multicenter trial. Am J Obstet Gynecol. 2026 Feb 19:S0002-9378(26)00099-2. doi: 10.1016/j.ajog.2026.02.027. Epub ahead of print. PMID: 41722754.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41722754/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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