研究

関節痛サプリ「グルコサミン」と認知症進行の関連を報告

米国フロリダ大学など、アルツハイマー病の代謝異常に注目

手のひらに白い錠剤をのせ、そばにコップが置かれている様子。
薬を服用しようとする場面。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 関節痛対策のサプリメントとして広く使われるグルコサミンが、認知症の進行と関連する可能性が報告された。

 米国フロリダ大学などの研究グループが、患者記録の解析、脳組織の解析、マウス実験を組み合わせて検討し、2026年6月に発表した。

軽度認知障害から認知症への進行と関連

膝に手を置き、前かがみになる高齢者の下半身。
膝や足腰の不調を感じる高齢者。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • グルコサミンは、関節の痛みや健康維持を目的に使われる市販サプリメントで、高齢者にも利用者が多い。
  • フロリダ大学などの解析では、軽度認知障害の人で、グルコサミン使用が認知症への進行リスク上昇と関連していた。
  • ただし、患者記録をもとにした解析であり、グルコサミンが認知症を進めたという因果関係を証明したものではない。

 グルコサミンは、関節の痛みや健康維持を目的に使われる市販サプリメントだ。高齢者にも利用者が多い。

 研究グループは、2012年から2024年までのフロリダ大学関連の診療記録をAIで解析した。対象は、アルツハイマー病などの認知症、または軽度認知障害と診断された人だ。

 その結果、グルコサミンの使用は、軽度認知障害から認知症へ進行するリスクが25%高いことと関連していた。軽度認知障害は、認知機能の低下はあるものの、日常生活への影響が比較的限られる段階を指す。

 また、アルツハイマー病などの認知症の人では、グルコサミンの使用が死亡リスクの25%上昇とも関連していた。一方で、軽度認知障害の人では死亡リスクとの関連は見られなかった。

 ただし、ここまでの分析は患者記録をもとにした解析で、因果関係を証明したものではない。関連を示しただけでは、グルコサミンを飲んだために認知症が進んだと結論づけることはできない。

タンパク質に糖鎖が付きすぎる仕組みに注目

ソファに座り、頬に手を当てて考え込む高齢女性。
体調や生活の悩みを抱える高齢女性。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 研究グループは、アルツハイマー病の脳でタンパク質に糖鎖が付く「糖鎖修飾」が過剰になっている可能性に注目した。
  • マウス実験では、グルコサミンを与えると糖鎖修飾が増え、社会的記憶と呼ばれる認知機能が悪化した。
  • ヒト脳組織でも糖鎖修飾の増加が確認され、今後は人を対象にした臨床試験での検証が必要になる。

 その上で、研究グループは、関連の背景として、アルツハイマー病の脳で代謝の異常が起きている可能性に注目した。

 特に調べたのは、タンパク質に糖の構造が付く「糖鎖修飾」と呼ばれる仕組みだ。タンパク質は細胞の中で働く重要な分子で、糖の目印が適切に付くことで、正しく折りたたまれたり、必要な場所へ運ばれたりする。

 今回の研究では、アルツハイマー病の脳で、この糖鎖修飾が過剰になっている可能性が示された。グルコサミンは糖に関係する分子で、体内でこうした経路に関わる可能性がある。

 マウス実験では、グルコサミンを与えると、細胞内のタンパク質に糖鎖が付く反応が増え、社会的記憶と呼ばれる認知機能が悪化した。一方で、この反応を薬剤で抑えると、記憶が改善した。

 さらに、アルツハイマー病のヒト脳組織でも、認知症のない対照と比べて糖鎖修飾が増えていた。研究グループは、こうした代謝異常がアルツハイマー病の進行に関わる可能性があると見ている。

 今後は、人を対象にした臨床試験で確認する必要があるものの、認知症とサプリメントの関係を考えるヒントになりそうだ。

参考文献

Study links joint pain supplement to accelerating dementia(University of Florida Health)
https://ufhealth.org/news/2026/study-links-joint-pain-supplement-to-accelerating-dementia-2

Hawkinson TR, Liu Z, Ribas RA, Medina T, Nielsen RS, Clarke HA, Ma X, Mueller AC, Plasencia AF, Sheer AL, Simpson ST, Soto CM, Sudderth J, Cai F, Cantrell AR, Colpaert MG, Shedlock CJ, Wu L, Young LEA, Kooser DD, Chen L, Ryan AM, Quinones S, Son J, Azadi P, Deberardinis RJ, Prokop S, Allison D, Yang S, Chen H, Huang Y, He X, Alonge KM, Guo J, Guo Y, Bian J, Vander Kooi CW, Gentry MS, Sun RC. Hyperglycosylation is a metabolic driver of Alzheimer’s disease. Nat Metab. 2026 Jun 9. doi: 10.1038/s42255-026-01538-4. PMID: 42265388.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42265388/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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