研究

未婚の人はがんの発症率が高い?男性では肛門がんの発症率が約5倍、女性では子宮頸がんが約2.6倍

米国約424万件のがん診断データで、多くのがんに発症率の差

緑の多い道を手をつないで歩く男女の後ろ姿。
婚姻状況とがん発症率の関連を調べた研究では、生活習慣や社会的支援、医療アクセスなどが背景にある可能性も指摘されている。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 400万人以上のがん診断データを対象にした研究から、一度も結婚したことがない人は、結婚経験がある人より、多くの種類のがんで発症率が高いことが明らかになった。

 米国マイアミ大学などの研究グループが2026年4月に発表した。

多くのがんで発症率に差

明るい室内でカップを持ちながら並んで座る中年の男女。
結婚経験のある人では、社会的支援や生活環境の違いが健康行動に影響している可能性がある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 米国12州のがん登録データと国勢調査データを用い、2015~2022年に30歳以上で診断された約424万人分のデータが解析された。
  • 一度も結婚したことがない人は、結婚経験がある人に比べて、がんの発症率が男性で約1.68倍、女性で約1.85倍高かった。
  • 発症率の差はほぼ全ての主要ながんで見られ、年齢が高くなるほど大きくなる傾向が示された。

 同研究によれば、結婚している人は、がんと診断された後の生存率が高いことが、これまでの研究で知られていた。一方で、そもそもがんの発症率に違いがあるのかについては、十分に検証されていなかった。

 研究グループは、米国12州のがん登録データと国勢調査データを用い、2015~2022年に30歳以上で診断された約424万人のデータを解析した。

 対象者を、一度も法的な結婚をしたことがない「未婚」と、既婚、別居、離婚、死別を含む「結婚経験あり」の2つのグループに分け、年齢や性別、人種・民族などを考慮した上で、がん発症率を比較した。

 その結果、未婚の人は、結婚経験がある人に比べて、がんの発症率が男性で約1.68倍、女性で約1.85倍高かった。こうした傾向は、ほぼ全ての主要ながんで共通して見られた。

 また、年齢が高くなるほど差は大きくなり、30~54歳より55歳以上で発症率の差が大きかった。差は70~74歳で最も大きくなり、75歳以上ではやや縮小した。

感染症や生活習慣と関わるがんで差が大きい

キッチンに置かれた果物と、奥で会話する2人の人物。
がん発症率の差には、食事、喫煙、飲酒、検診受診など日常生活の違いが関係している可能性がある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 発症率の差が特に大きかったのは、感染症や喫煙、飲酒などの生活習慣と関連が強いがんだった。
  • 男性では肛門がん、女性では子宮頸がんで差が大きく、肺がん、食道がん、肝細胞がんなどでも差が目立った。
  • 今回の研究は観察研究であり、結婚そのものががん発症率を下げると証明したものではなく、生活習慣や医療アクセス、社会的支援などが関係する可能性がある。

 がんの種類別にみると、差が特に大きかったのは感染症や生活習慣との関連が強いがんだった。

 男性では肛門がんの発症率が約5倍、女性では子宮頸がんの発症率が約2.6倍となった。男女とも肺がん、食道がん、肝細胞がんなどで差が大きく、女性では大腸がんでも約2.1倍だった。

 一方、乳がんや前立腺がん、甲状腺がんでは差は比較的小さかった。

 今回の研究は、研究者が治療や生活条件を割り当てるのではなく、実際の社会でみられる婚姻状況とがん発症率の違いを調べる「観察研究」だ。そのため、婚姻状況とがん発症率の関連は示されたものの、結婚そのものががん発症率を下げたという因果関係までは証明していない。

 喫煙や飲酒などの生活習慣、性行動や出産歴、検診の受診、医療へのアクセス、経済的安定、社会的支援など、さまざまな違いが関係している可能性がある。また、健康状態や生活基盤が安定している人ほど結婚しやすいという影響も考えられる。

 がん予防や検診の支援が必要な人を考える上で手掛かりとなる研究となる。

参考文献

Pinheiro PS, Balda AN, Cranford HM, Crane TE, Kobetz EN, Penedo FJ. Marriage and Cancer Risk: A Contemporary Population-Based Study Across Demographic Groups and Cancer Types. Cancer Res Commun. 2026 Apr 1;6(4):783-791. doi: 10.1158/2767-9764.CRC-25-0814. PMID: 41949036; PMCID: PMC13058905.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41949036/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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