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カフなしで1分ごとに血圧を記録

大正製薬など、日常生活下で使う血圧記録システム「Alysis」を発売へ

カフを使わずに血圧関連情報を取得するブレスレット型ウェアラブルデバイス「Alysis Wear」。
腕を締め付けずに血圧の推移を記録するためのブレスレット型デバイス「Alysis Wear」。(出典:大正製薬)

 血圧は一日の中でも変動し、診察室や家庭での少数回の測定だけでは実態を捉えにくいことがある。

 大正製薬、Arblet、マクニカは、腕に巻くカフで締め付けることなく、日常生活中の血圧を1分間隔で推定・記録できる「Arblet 血圧演算プログラム Alysis-001」を、2026年7月31日に発売すると発表した。

診察室では見えにくい血圧変動を記録

Alysis Wearで取得した血圧関連情報を専用アプリに送り、クラウドサーバで演算処理する流れを示した図。
「Alysis Wear」で取得した血圧関連情報を専用アプリに送信し、クラウドサーバで演算して結果を表示する仕組み。(出典:大正製薬)
  • Alysisは、ブレスレット型機器のセンサー情報をもとに、カフで腕を締め付けず血圧の推移を長時間記録する医療機器プログラム。
  • 1分ごとに血圧を推定できるため、日常生活中や睡眠中の血圧変動を追いやすい。
  • 仮面高血圧、白衣高血圧、夜間高血圧、モーニングサージなど、診察室だけでは見えにくい変化の把握に役立つ可能性がある。

 一般的な血圧計は、腕にカフを巻き、空気を入れて圧迫しながら測定する。家庭でも利用しやすい一方、長時間にわたり何度も測るには測定の手間があり、自動測定であっても圧迫による睡眠の妨げにつながることが課題となる。

 Alysisは、ブレスレット型の機器から得た情報をもとに血圧を計算し、長時間記録する医療機器プログラムだ。Arbletによれば、光、電位、加速度、角速度の各センサーを用いてデータを取得し、それを「血圧演算アルゴリズム」に通すことにより、血圧値を計算できるという。カフを使わず、1分ごとに血圧の推移を測定できるため、普段の生活や睡眠中の変化も追いやすい。

 こうした測定が役立つ可能性があると想定されているのが、診察室では正常でも日常生活では血圧が高い「仮面高血圧」や、診察時だけ高くなる「白衣高血圧」、睡眠中の「夜間高血圧」、起床前後に血圧が急上昇する「モーニングサージ」などだ。

 測定データは通信回線を通じて医療機関で確認できる。医師が診察室以外の血圧変動を把握し、診断や治療方針を考える際の補助情報として使うことが想定されている。

 製品は管理医療機器として2024年10月に承認され、血圧計の精度評価に関する国際規格「ISO 81060-2:2018」に準拠している。大阪大学とArbletによる、覚醒時と睡眠時の測定性能を既存の携帯型血圧計と比較した臨床研究も報告されている。

実用性には見えていない課題がある可能性も

腕にカフを巻いて血圧を測定する家庭用血圧計。
一般的な血圧計では腕にカフを巻いて圧迫しながら測定する。Alysisは、こうしたカフを巻く測定の手間や、長時間測定時の負担の軽減を目指す。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • Alysisは3年間の利用ライセンスを含めて44万円で、2026年7月時点では保険適用外となっている。
  • 夜間や早朝を含む血圧変動を細かく捉えられれば、見逃されていた高血圧の発見や薬の効果確認に役立つ可能性がある。
  • 従来の24時間血圧計や家庭血圧測定と比べた診療上の利益や費用対効果は、今後の検証課題になる。

 Alysisの販売価格は、3年間の利用ライセンスを含めて1セット44万円となる。2026年7月時点では保険適用外で、保険適用に向けた申請準備が進められている。

 カフによる締め付けなしに長時間測れることは、大きな利点になり得る。特に、夜間や早朝を含めた血圧変動を細かく捉えられれば、これまで見逃されていた高血圧を見つけたり、薬の効果を確認したりする助けになる可能性がある。

 一方で、医療機器として承認され、国際規格に沿った精度評価を受けていることと、実際の診療で十分な利益をもたらすことは同じではない。実生活で使われた場合の実用性については、まだ見えていない課題が存在する可能性もある。

 また、従来の24時間血圧計や家庭血圧測定と比べて、診断精度や治療成績をどの程度改善できるのか、44万円という価格に見合う効果があるのかは課題になり得る。

 そうしたハードルはあり得るものの、高血圧診療を改善する手段として注目される。

参考文献

日本初、カフレスで日常生活下の血圧モニタリングを可能にした『Arblet 血圧演算プログラム Alysis-001』発売(大正製薬)
https://www.taisho.co.jp/company/news/2026/20260709001030/

血圧の長時間記録を使用目的・効果とする「Arblet 血圧演算プログラム Alysis ー001」製造販売承認取得
https://www.arblet.com/news/6B6hzk4IStxHrfS2Nd7P

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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