研究

ベジタリアンは100歳到達率が低い?ヴィーガンで顕著

中国80歳以上研究で示される、超長寿の意外な条件

高齢女性と介護スタッフが笑顔で拍手している様子。
高齢女性と介護スタッフが笑顔で過ごす場面。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 野菜は健康に良いとされる。野菜中心の食事は、病気の予防にはメリットと考えられている。

 しかし、「100歳まで生きる」という超長寿の側面では、ベジタリアンの生活は必ずしもベストとは言い切れない可能性が示された。80歳以上の高齢者では、ベジタリアンの場合に100歳まで到達する可能性が低い傾向が見られたためだ。

 中国の研究グループが2026年2月に報告した。

100歳に到達した人を抽出して比較

まな板の上でにんじんやきゅうりを包丁で切っている手元。
野菜を調理する手元の様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 中国の長寿健康調査データを用い、100歳到達者1459人と非到達者3744人を比較した。
  • 参加者を動物性食品を含む食事群とベジタリアン群に分け、さらにベジタリアンを3タイプに分類した。
  • 100歳到達者は健康長寿モデルとされ、食生活との関連が詳しく分析された。

 世界的に80歳以上人口は急増しており、研究報告によれば、2020年から2050年の間に3倍に拡大し、世界で4億2600万人に達すると予測されている。

 こうした変化の中で、世界的に、単なる平均寿命の延伸だけでなく、健康寿命を延ばすことが重んじられるようになっている。

 健康寿命への関心が高まる中で、注目されているのが100歳以上の高齢者だ。なぜなら、100歳以上を生き延びた高齢者は、加齢に関連した病気の発症が遅い、または避けられている場合が多く、健康長寿のモデルとされる存在となっているからだ。

 今回、中国の研究グループは、100歳以上まで生きる超長寿に着目し、中国の22省を対象とした「中国長寿健康調査(CLHLS)」のデータを活用して、調査期間中に100歳に到達した1459人と、100歳に届かずに亡くなった3744人を抽出し、それ以前の食生活との関連を分析した。

 参加者は、動物性食品の摂取状況に基づき、動物性食品と植物性食品の両方を摂取するグループと、ベジタリアンのグループに分類された。さらにベジタリアンも、魚は食べるペスコ・ベジタリアン、卵や乳製品は摂るラクト・オボ・ベジタリアン、完全菜食のヴィーガンに区別された。

動物性食品も含む食事が有益か

家族が食卓を囲み、料理を取り分けている様子。
家族で食卓を囲む様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • ベジタリアンは動物性食品も摂る人に比べ、100歳到達の可能性が約2割低かった。
  • 特にヴィーガンで差が大きく、ペスコやラクト・オボでは有意差はみられなかった。
  • やせ型高齢者では関連がより強く、高齢期には動植物性を組み合わせたバランスの良い食事が重要である可能性が示された。

 結果として、ベジタリアンのグループの人たちは、動物性食品と植物性食品の両方を摂取する人たちと比べて100歳に到達する可能性が低いことが分かった。具体的には、100歳に到達する可能性は約2割低かった(オッズ比0.81)。

 特にヴィーガンではその傾向が強く、約3割の差が示された(オッズ比0.71)。しかし、魚も食べるペスコ・ベジタリアンや卵や乳製品も食べるラクト・オボ・ベジタリアンでは統計学的に有意な差は認められなかった。

 さらに注目されたのはBMIとの関連で、BMI18.5未満のやせ型高齢者では、ベジタリアンでは100歳に到達する割合がより低い関連が見られた。BMI18.5以上では統計学的に有意な関連は認められなかった。

 高齢期では低体重である場合が多くなり、栄養不足や虚弱、骨折リスクが問題となる。植物性中心の食事だと、超高齢の時期には十分なタンパク質や特定の微量栄養素の確保が難しくなる可能性もある。

 著者らは、ベジタリアン食が中年期までの慢性病の予防には有益である可能性を認めつつも、80歳を超える超高齢期では、動物性食品と植物性食品を適切に組み合わせた「バランスの取れた質の高い食事」が重要である可能性を指摘する。

 平均寿命が延び続ける現代、食事の最適解は年齢層によって異なる可能性がある。日本人の食を考える上でも参考になりそうだ。

参考文献

Li Y, Wang K, Lv Y, Jigeer G, Huang Y, Shen X, Shi X, Gao X. Vegetarian diet and likelihood of becoming centenarians in Chinese adults aged 80 y or older: a nested case-control study. Am J Clin Nutr. 2026 Feb;123(2):101136. doi: 10.1016/j.ajcnut.2025.101136. Epub 2025 Dec 12. PMID: 41391640.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41391640/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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