世界

韓国で膀胱がん診断を補助する遺伝子検査を承認 尿中「PENK遺伝子メチル化」を検出

韓国食品医薬品安全処が報告

尿検査用の紙カップと問診票、ボールペン。
尿検査用カップと問診票。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 韓国食品医薬品安全処(MFDS)は2026年1月に、膀胱がんの診断を補助することを目的とした遺伝子検査試薬を承認したと発表した。

尿から「遺伝子のメチル化」を検出

医療従事者が尿検体容器を手に持っている様子。
尿検体容器を持つ医療従事者。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 膀胱がんの早期発見を目的に、尿から遺伝子の変化を調べる新しい検査が韓国で承認された。
  • 尿中の「PENK遺伝子のメチル化」という変化を手がかりに、膀胱がんの可能性を評価する。
  • 血尿があり膀胱がんが疑われる40歳以上の患者を対象とした補助診断検査として使われる。

 発表によれば、膀胱がんは血尿などの症状を契機に発見されることが多く、早期診断の精度向上が重要な課題となっている。

 今回承認された検査は、細胞増殖の調節やストレスに伴う細胞死に関わるタンパク質「PENK(プロエンケファリン、Proenkephalin)」の遺伝子に着目したもの。

 PENK遺伝子がメチル化されるとPENKタンパク質の発現が抑えられることが知られており、この変化を目安として、特に高悪性度または浸潤性膀胱がんの診断を補助する。この方法は韓国で開発された。

 検査では、遺伝子の変化を「リアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法」を用いて検出する。

 対象となるのは、血尿があり膀胱がんが疑われる40歳以上の患者。

 この製品は、作用メカニズムや性能などから新規性が認められ、「新開発医療機器」に分類された。

日本でも尿から調べる検査を開発する動き

研究者が試験管を扱いDNA構造のイメージが重なる研究風景。
遺伝子研究のイメージ。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 従来のタンパク質を調べる検査は、感度・特異度ともに十分とはいえない課題があった。
  • 今回の遺伝子検査は、感度89.1%、特異度87.8%と従来より高い精度が報告された。
  • 尿を使った検査は日本でも研究が進んでおり、今後の膀胱がん検査の発展が期待されている。

 膀胱がんの補助診断にはこれまで、タンパク質を対象とした「免疫診断法」などが用いられている。

 しかし従来製品では、がんをがんだと判定する精度(感度)は55.7~62.5%、がんではないものを陽性と判定しない精度(特異度)は78.0~85.7%とされ、診断精度の向上が求められていた。

 今回承認されたメチル化PENK遺伝子検査では、感度が89.1%、特異度が87.8%と報告され、従来法より高い精度が示された。

 日本では、尿中のタンパク質を調べて膀胱がんの可能性を評価する検査のほか、尿中の細胞の染色体異常から膀胱がんの再発を調べる検査が実用化されている。尿から膀胱がんの可能性を調べる検査を開発する動きはほかにもあり、今後、膀胱がんの検査がより進歩する可能性がある。

参考文献

방광암 진단 보조 목적 국산 신개발의료기기 최초 허가(韓国食品医薬品安全処)
https://www.mfds.go.kr/brd/m_99/view.do?seq=49616

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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