研究

トイレでスマホ使用、痔のリスク46%増の可能性

トイレに座りスマートフォンを操作する人の手元
トイレに座りスマートフォンを操作する様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 スマートフォンをトイレで使用する習慣が、痔の発症と関連している可能性が示された。

 米ベス・イスラエル・ディーコネス・メディカルセンターなどの研究グループは、トイレでのスマートフォン使用と痔の有病率の関連を調べた研究の結果を2025年9月に発表した。

トイレでスマホを使う人は66%

医療用内視鏡を持つ医療従事者の手元
医療用内視鏡を持つ医療従事者の手元。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 大腸内視鏡検査を受けた成人125人を対象に、トイレでのスマートフォン使用習慣を調査した。
  • 参加者の66%が「トイレでスマートフォンを使用する」と回答した。
  • スマホ使用者ではトイレ滞在時間が長く、5分以上座る割合が37.3%と非使用者(7.1%)より高かった。

 スマートフォンは日常生活のあらゆる場面に浸透し、トイレに座っている間にニュースを読んだり、SNSを閲覧したりする行動も一般的になっている。

 一方で、報告によれば、痔は消化器に関連した病気の中でも一般的で、米国では年間約400万人が医療機関を受診しているとされる。

 これまで、便秘や排便時のいきみ、食物繊維不足、肥満、運動不足などがリスク要因として指摘されてきた。その中で、「トイレに長時間座ること」も関連する可能性が考えられてきた。

 そこで、米国の研究グループは、大腸内視鏡検査を受けた成人を対象とした調査を行った。

 参加者はスマートフォン使用習慣や排便習慣、運動量、食物繊維摂取などについてアンケートに回答し、内視鏡検査の結果から痔の有無を評価した。

 解析対象となった125人のうち、66%が「トイレでスマートフォンを使用する」と回答。スマートフォン使用者は非使用者より若い傾向があり、またトイレに座る時間も長かった。

 具体的には、スマートフォン使用者の37.3%が「1回のトイレで5分以上座る」と回答し、非使用者の7.1%を大きく上回った。

長時間座る習慣が影響か

洋式トイレの便座部分のクローズアップ
洋式トイレの便座部分のクローズアップ。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 調査対象の43%に大腸内視鏡検査で痔が確認された。
  • トイレでスマートフォンを使う人は、非使用者に比べ痔のリスクが46%高かった。
  • 研究者は、排便時の力よりも「トイレに長時間座ること」が痔の発症に影響する可能性を指摘している。

 調査対象者の43%では、大腸内視鏡検査によって痔が確認された。分析の結果、トイレでスマートフォンを使用する人は、非使用者と比べて痔のリスクが46%高いことが示された。年齢、性別、BMI、運動量、排便時のいきみ、食物繊維摂取などの条件で調整しても結果は変わらなかった。

 研究グループでは、痔の発症には「排便の力」よりも「トイレに座っている時間」がより重要である可能性を指摘している。トイレの便座では骨盤底が支えられず、長時間座ることで肛門周囲の血管に圧力がかかり、腫れや痔につながる可能性があるという。

 また、スマートフォン使用者は運動量が少ない傾向も見られ、生活習慣の変化が背景にある可能性も考えられた。

 今回の研究は関連を調べたものなので、トイレでのスマートフォン使用が直接的な原因と断定できないものの、注意が必要だろう。

 痔の予防の観点から「トイレに座る時間を5分以内に抑える」ことや、スマートフォンの使用を控える習慣づけが有用である可能性があるという。

 研究成果は学術誌「PLOS ONE」に掲載された。

参考文献

Ramprasad C, Wu C, Chang J, Rangan V, Iturrino J, Ballou S, Singh P, Lembo A, Nee J, Pasricha T. Smartphone use on the toilet and the risk of hemorrhoids. PLoS One. 2025 Sep 3;20(9):e0329983. doi: 10.1371/journal.pone.0329983. PMID: 40901789; PMCID: PMC12407481.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40901789/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

ARCHIVE

新着記事

関連する病気から探す

カテゴリーから探す

あなたの立場から探す

あなたの関心から探す