研究

AI搭載ポータブル眼科検査システムを開発 低コストで高精度

白内障や緑内障につながる目の異常の早期発見へ、東北大学が発表

女性の目元をクローズアップした写真
目の状態を示すイメージ。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 低コストで持ち運び可能なAI(人工知能)搭載の眼科検査システムが、日本国内で開発された。

 この機器は前眼部の検査に対応し、従来製品と同等の解析精度を維持している。

 東北大学の研究グループが2026年3月に発表した。

眼科検査をポータブルに

さまざまな場所で眼の検査を行い、多くの眼疾患を発見できることを示した概念図
あらゆるところで検査ができ、多くの疾患を発見(出典:東北大学)
  • 前眼部の異常は視力障害の原因となり、白内障や狭隅角などの早期発見が重要。
  • 従来は高額で大型の機器や専門医が必要で、検査を受けられる場所が限られていた。
  • 新システムはAIを端末内で動かし、自撮り機能も備えた低コストな前眼部検査を可能にした。

 開発された機器で検査できるのは、目の前面に当たる前眼部。前眼部の異常は視力障害の大きな原因の一つであり、白内障や緑内障の急性発作のリスクとなる狭隅角(きょうぐうかく)などが含まれる。狭隅角は、眼の中の水の流れに関わる隅角が狭くなった状態だ。

 従来、こうした異常を調べるには、高額で大型の検査機器や、熟練した専門医の診察が必要だった。結果として、検査を受けられる場所は限られていた。

 今回、研究グループは、そうした制約に縛られない、持ち運びやすく扱いやすい低コストの検査システムを開発した。AIを搭載しているのが特徴で、そのAIも端末内で動くため、インターネットにつながっていない環境でも高精度に診断を支援できる。

 前眼部にスリット状の光を当てて必要な部位を撮影できる機能を持つほか、受診者自身が画面を見ながら扱いやすい自撮り機能も搭載した。

 研究グループによると、このシステムは既存の眼科検査機器に近い解析の精度を保ちながら、従来の細隙灯顕微鏡に比べて約6分の1の低コスト化を実現した。

医療機関の外でも検査可能に

目元を指さしながら症状を相談する女性
目の症状について相談する様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 低コスト化により、健診施設や福祉施設などでも導入しやすくなると期待される。
  • 駅や商業施設、災害時や通信環境が不安定な場所での活用も見込まれる。
  • 白内障や緑内障の早期発見を通じて、重症化予防や生活の質の維持につながる可能性がある。

 このシステムによって、高価な装置を導入しにくい施設でも導入しやすくなり、検査を受けられる機会の拡大が期待される。例えば、医療従事者が常駐していない健診施設や福祉施設のほか、駅や商業施設などでの活用も想定される。

 通信環境に左右されないため、ネット接続が不安定な場所や、災害時のような状況で活用する上でも大きな利点になり得る。

 開発されたシステムが白内障や緑内障の早期発見を可能とすれば、重症化を防ぎ、生活の質の維持にもつながる。国内外で眼科健診を受けやすくする技術として注目される。

参考文献

AI搭載のポータブル眼科検査システムを開発 ― 場所を選ばない眼科スクリーニングにより白内障などの早期発見へ ―(東北大学)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/04/press20260401-04-eye.html

Kaushik, N., Sharma, P., Miya, T. et al. Portable AI-powered scanning slit-light device for low-cost eye disease screening. Sci Rep (2026).
https://doi.org/10.1038/s41598-026-44392-w

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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