改正健康増進法と東京都と千葉市の条例で禁煙飲食店は拡大
なお残る「喫煙できる店」には課題も、筑波大学などの研究グループが報告

受動喫煙はがんのリスクに代表されるように健康に悪影響を及ぼすことが知られ、飲食店での対策強化が進められてきた。
そうした中で、飲食店を原則屋内禁煙とする改正健康増進法、ならびに東京都や千葉市の受動喫煙防止条例の施行により、禁煙飲食店の割合が増加したことが明らかになった。
筑波大学、神戸大学、大阪医科薬科大学、国立がん研究センターの研究グループが2026年2月に報告した。
法施行で禁煙化が進んだ

- 改正健康増進法の全面施行により、飲食店の屋内喫煙は原則禁止となり、全国で禁煙飲食店の割合が上昇した。
- 東京都と千葉市では、従業員がいる店舗により厳しい条例を適用し、禁煙化を一段と進めた。
- 研究では、グルメレビューサイトの喫煙や禁煙の情報を用い、法施行前後の禁煙飲食店割合の変化を分析した。
受動喫煙は、他人のたばこの煙にさらされることで健康被害をもたらすことが知られ、飲食店はその対策の重要な現場の一つとされている。
2020年4月に全面施行された改正健康増進法は、飲食店の屋内喫煙を原則禁止としたが、既存の小規模飲食店には、20歳未満を煙にさらさないなど条件を満たせば、喫煙可能室の設置を認める経過措置が残された。
東京都と千葉市では、こうした状況もあり、禁煙を一層促すためより厳しい条例を施行した。同居親族以外の従業員がいる場合には、喫煙可能室の設置を認めない内容だ。
こうした特例の経過措置の終了時期が具体的に定められていない中で、制度の実効性がどこまで及ぶかは論点となっていた。
そこで研究チームは、グルメレビューサイトに登録された飲食店の喫煙と禁煙情報を基に、2020年1月から2022年12月までの掲載情報を約6カ月ごとに抽出し、あわせて2016年8月時点の地域や業態別の集計値も用いて分析した。
さらに2016年時点の集計値も組み合わせ、法施行の前後で禁煙飲食店の割合がどのように変化したかも推計した。登録情報の一部については電話調査で正確性も確認し、おおむね9割が正しいことを確かめたという。
例外措置の見直しも焦点に

- 全国の禁煙飲食店の割合は法施行で5.7ポイント上昇し、東京都と千葉市では13.5ポイント上昇したと推計された。
- レストランやカフェでは禁煙化が進んだ一方、居酒屋やバーでは喫煙可能な店舗がなお多く残っていた。
- 今後は例外措置の終了時期の明確化や制度の曖昧さの解消、法令遵守の徹底が課題となる。
分析の結果、全国の禁煙飲食店の割合は、改正健康増進法の全面施行によって5.7ポイント上昇したと推計された。
さらに、同時期により厳しい条例を施行した東京都と千葉市では13.5ポイント上昇したと推計された。そのうち7.8ポイントは条例による上乗せ効果とされた。
施行前後の実数でも、禁煙飲食店の割合は全体で38.6%から46.7%へ上昇し、レストランやカフェに加え、居酒屋でも大きな増加が確認された。
ただし、2022年12月時点の推計では、禁煙飲食店の割合はレストランで68.3%、カフェで70.2%に達した一方、居酒屋は32.8%、バーは25.0%にとどまった。
新規開業店では禁煙化がより進んでいたが、既存店舗では依然として喫煙可能な店が少なくない。
研究グループは、例外措置の終了時期が具体的に定まっていないことや、法令の理解不足、主食の提供が認められない喫煙目的施設で主食提供が例外的に許容されているなどの制度上の曖昧さが背景にある可能性を指摘する。
受動喫煙の機会をさらに減らすためには、経過措置を終了するといった対応も有効になる可能性がある。
参考文献
受動喫煙防止のための改正健康増進法と条例の施行で禁煙飲食店がやや増加(筑波大学、神戸大学、大阪医科薬科大学、国立がん研究センター)
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20260218140000.html
Muraki I, Kataoka A, Ito Y, Katanoda K, Nakamura M. Impact of ban and ordinances against indoor smoking on the proportion of smoke-free establishments in restaurants, izakaya, and bars in Japan: Interrupted time-series analysis of restaurant database. Public Health. 2026 Mar;252:106146. doi: 10.1016/j.puhe.2026.106146. Epub 2026 Jan 18. PMID: 41554192.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41554192/
この記事の執筆者
星良孝
PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。





