──今回の研究結果を受けて、乳がん検診で超音波を併用する動きは広がる可能性がある。
原田氏:任意型検診では、既に超音波を行っている施設がありますし、今回の結果を受けて、さらに取り入れたいと考える施設も出てくると思います。
ただ、これまでにもお話ししてきたように、超音波はマンモグラフィに取って代わる検査ではありません。マンモグラフィに上乗せすることで、より多くの乳がんを見つけ、進行した状態で見つかる乳がんを減らす可能性が示されたということです。
その上で、実際に超音波検診を行うのであれば、検査の質を一定に保つ「精度管理」が重要になります。
──「精度管理」では、何を揃える必要があるのか。
原田氏:使用する機器が一定の基準を満たしていること、検査を担当する人が十分に訓練されていること、画像の見方や判定方法がそろっていることが重要です。
J-STARTのような研究では、施設ごとに検査の質が大きく異なれば、超音波を併用した効果を正しく比較できません。また、実際の検診として広げる場合にも、施設による検査の質の差をできるだけ小さくし、一定の水準を保つ必要があります。
──J-STARTでは、超音波検査の質をどのようにそろえたのか。
原田氏:J-STARTで参加者の登録が始まった2007年ごろ、マンモグラフィについては、撮影や読影の精度を管理する仕組みが既にありました。一方、超音波については、マンモグラフィと同じような全国的な仕組みが十分に整っていませんでした。
そのため、関係する学会とも連携しながら、使用する機器の基準、検査を担当する技師のトレーニング、画像の見方や判定方法などを整えました。全国の参加施設で、できるだけ同じ水準の検査を行えるようにする必要がありました。
──現在は、超音波検診の精度を評価する仕組みがあるのか。
原田氏:現在は、乳がん検診の精度管理を担う組織があり、超音波についても、検査や判定を担当する医師や技師などが講習や試験を受け、一定の基準に基づいて評価を受ける仕組みがあります。
ただし、こうした評価を受けることが、超音波検診を行うすべての施設や担当者に義務付けられているわけではなく、認定を受けていなくても実施すること自体は可能です。
しかし、超音波を少し経験したことがあるというだけで、乳がん検診として十分な検査ができるかというと、そこは慎重に考える必要があります。超音波検診を行うのであれば、きちんとトレーニングを受け、一定の基準を満たした人が担当することが大切です。(続く)