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乳房MRIから乳がんが疑われる病変をAIが自動検出、欧州で提供開始

スペインのキビムが「キュー・ピー・ブレスト」を発売 大きさや位置、悪性の可能性を表示

乳房MRIなどの検査に用いられるMRI装置が置かれた検査室。
乳房MRIは、乳がんのリスクが高いと考えられる人の検査や、病変の広がりを詳しく調べる場面などで使われる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 乳房MRI画像から、乳がんが疑われる病変をAIで自動検出する診断支援ソフトウエア「キュー・ピー・ブレスト(QP-Breast)」が、欧州で提供開始された。病変の位置を示すだけでなく、大きさや体積、悪性の可能性などをまとめる。

 スペインの医療AI企業キビム(Quibim)が2026年7月2日に発表した。

乳房MRIから疑わしい病変を自動検出

乳房MRIの複数の断面画像を並べて表示した読影画面。
乳房MRIでは、乳房の内部を複数の画像で詳しく確認し、乳がんが疑われる病変の有無や広がりを調べる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
  • 乳房MRIは高リスク者の検診や高濃度乳房の検査、病変の広がりの確認などに使われる。
  • AIが疑わしい病変を強調し、大きさや体積、位置、悪性の可能性をレポートにまとめる。
  • 既存の画像システムと連携でき、検診と診断の両方で医師の判断を支援する。

 PREVONOでも伝えているように、乳がんの検査では、マンモグラフィーや超音波検査に加え、磁気を使って乳房の内部を詳しく調べる乳房MRIが使われる。

 乳房MRIは、乳がんの発症リスクが高い人の検診や、乳腺の密度が高い「高濃度乳房」の人の検査、病変の広がりを調べる際などに利用される。

 MRIでは多数の画像を確認する必要があり、小さな病変や分かりにくい変化を一つずつ見極めなければならない。撮影件数の増加や放射線科医の不足、医師による判断の違いも課題となっている。

 今回提供が始まったキュー・ピー・ブレストは、乳房MRI画像をAIで解析し、乳がんが疑われる場所を自動で強調して表示する。

 検出した病変については、大きさや体積、乳房内の位置、悪性の可能性などを整理し、レポートとして示す。疑わしい場所と特徴が分かりやすくまとめられるため、医師が病変を見つけ、精密検査の必要性を判断する際の手掛かりになる。

 AIが画像確認の一部を支援することで、疑わしい病変をより早く見つけ、検査結果を一貫した基準で判断しやすくすることが期待されている。乳がんが疑われる人にとっては、その後の追加検査や生検の必要性を検討するための情報を、より分かりやすく整理する仕組みとなる。

 ソフトウエアは、病院で現在使用されている画像システムと連携して利用できる。医師が普段行っている画像確認の流れを大きく変えずに導入できるとしている。

 開発や性能の確認では、病変の組織を採取し、良性か悪性かを調べた生検の結果を、AIの判断を検証するための基準データとして使った。

 キュー・ピー・ブレストは、乳がん検診のほか、症状や別の検査結果を受けて行う診断を目的とした乳房MRIにも利用できるという。

欧州と英国で医療機器として提供

  • EUのCEマークと英国のUKCAマークを取得し、欧州と英国で医療機器として販売できる。
  • 病変情報を整理して示すことで、追加検査や生検の必要性を検討する際の手掛かりとなる。
  • 病院や検診施設などでの活用が想定される。日本でも乳房MRIを支援するAIの普及が考えられる。

 キュー・ピー・ブレストは、欧州で医療機器として提供するために必要な基準を満たした。EUではCEマーク、英国ではUKCAマークを取得し、それぞれの地域で販売できるようになった。

 キビムによると、乳房MRIから乳がんが疑われる病変を検出するAIとして、欧州で初めて提供される製品だという。

 乳房の画像検査で疑わしい病変が見つかると、組織を採取してがんかどうかを確かめる「生検」が行われることがある。ただ、生検に進んだ病変が、結果的にはがんではない場合も少なくない。

 キビムは、乳房画像診断の判定基準などをまとめた「BI-RADS 2025年版」を引用し、生検された乳房の病変のうち、5件中最大4件はがんではないと説明している。

 キュー・ピー・ブレストは、病変の大きさや位置、悪性の可能性などをまとめて示す。こうした情報が加わることで、医師が画像を詳しく確認し、追加検査や生検が必要かを検討する際の手掛かりとなる。

 対象となるのは、病院や乳がん検診施設、画像診断を専門とする医療機関だ。キビムは、増え続ける画像検査に対応しながら、乳房MRIの結果をより速く、安定して判断できるようにすることを目指している。

 日本でも、年間約10万人が新たに乳がんと診断されると推計されている。乳房MRIはすべての人が受ける検査ではないものの、乳がんの危険性が高い人の検診や、病変を詳しく調べる場面で使われている。今後は日本でも、乳がん検診や精密検査を支える技術として、AIの活用が広がる可能性がある。

参考文献

Quibim launches CE and UKCA marked QP-Breast to transform breast cancer MRI interpretation across Europe and UK(Quibim)
https://quibim.ai/newsroom/news-and-press-releases/quibim-launches-ce-and-ukca-marked-qp-breast-the-first-ai-tool-to-detect-breast-cancer-via-mri-in-europe-and-the-uk/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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