若い肺がん患者の食生活が、果物や野菜、全粒穀物などの摂取を含め、米国平均より食事の質が高いことが示された。
米国の研究グループが2026年4月に報告したもので、学会発表の段階であるが、その意外な結果に注目が集まっている。
若い女性に目立つ肺がんの背景を検討
笑顔で寄り添う女性たちのイメージ。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
若い世代では、喫煙率が低下した後も女性の肺がんが男性を上回る傾向がみられ、研究では若年肺がん患者の特徴が調べられた。
若い肺がん患者の食事の質は米国平均より高く、果物、野菜、全粒穀物の摂取も多かった。女性患者の食事スコアは男性より高かった。
研究チームは、こうした食品群が健康的である一方で、農薬や除草剤の残留ばく露源になり得る点に注目し、若い非喫煙者の肺がんの新たな環境要因の候補と位置づけた。
研究チームによれば、1980年代半ばを境に喫煙率が下がって以降、男性では肺がんの発症が大きく減った一方で、若い世代では女性の肺がんが男性を上回るようになった点に注目した。そこで、若い肺がん患者にどのような特徴があるのかを調べた。
発表された解析は、若い肺がん患者を調べた研究の187人を対象としたもので、うち84%を女性が占めた。
166人は食事のアンケートに答えており、食事の質が「HEI-2015」と呼ばれる基準で評価された。
その結果、遺伝子変異の特徴で分けた「EGFR経路グループ」、「融合遺伝子陽性グループ」、「そのほか・混合変異グループ」のいずれでも、食事の総合点は米国の目安を上回った。
具体的には、HEI-2015の平均点はそれぞれ64.9、65.5、63.5で、米国の目安58をいずれも超えていた。女性患者の点数は65.6で、男性の61.8より高く、男女とも米国平均を上回った。
若い肺がん患者では、総野菜、果物、全粒穀物の摂取も米国平均より多かった。HEI-2015の内訳では、総野菜は4.2で米国の3.5を上回り、果物は3.3で2.5を、全粒穀物は3.9で2.6を上回った。
また、EGFR経路グループでは32.8%、融合遺伝子陽性グループでは13.4%にたばこ使用歴があった。女性では経口避妊薬の使用歴も75〜100%と高い水準でみられた。
研究チームはここで、ただ「健康的な食事をしている」という事実だけでなく、その中身に注目した。これらの食品群は、普通は健康に良いと考えられる一方、これまでの文献によれば、農薬や除草剤への残留ばく露が比較的高くなり得る食品群でもあると整理している。
今回の解析では、特定の農薬の体内濃度を直接測ったわけではなく、食品の種類ごとの残留の可能性を基に見積もったにとどまるが、若い非喫煙者の肺がんの新たな環境要因の候補を示した点に意味がある。
これまでの研究ではメリットが示される
胸部X線画像を見ながら医師が患者に説明する診察場面。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
今回の学会報告だけで、果物や野菜が肺がんリスクを高めると結論づけるのは適切ではない。
2025年の大規模なまとめ研究では、果物や野菜の摂取は肺がんリスクの低下と有意に関連し、総果物・野菜、野菜、果物のいずれでもリスク比は1を下回った。
今後は、摂取量だけでなく、有機・慣行栽培の違い、農薬残留、血液や尿の指標、喫煙歴、性差、遺伝子変異ごとの感受性を組み合わせた検討が必要と考えられる。
もっとも、この学会報告だけをもって、果物や野菜が肺がんリスクを高めると受け止めるのは適切ではない。
別の2025年の報告では、前向き研究41件、合わせて429万8280人、肺がん4万1567例をまとめ、果物や野菜の摂取は肺がんリスクの低下と有意に関連していた。
具体的には、総果物・野菜のリスク比は0.81、野菜は0.87、果物は0.78で、かんきつ類、アブラナ科野菜、緑の葉物野菜でも肺がんのリスクを低下させる関係が示された。リスク比は1を下回ると、リスクが低下していることを示す。
さらに摂取量とリスクの関係を見た解析では、野菜140g/日、果物120g/日前後までは、摂取量が増えるにつれて肺がんリスクの低下が見られ、総果物・野菜では900g/日まで低下の流れが続くと報告された。100g/日の果物追加でリスクは6%下がり、100g/日の野菜追加でも6%下がったとされる。
この研究は、果物や野菜に含まれるさまざまな生理活性物質が、炎症や腫瘍微小環境に影響する可能性も論じている。
今後は、食品の摂取量だけでなく、有機栽培と慣行栽培の違い、農薬残留量、血液や尿の指標、喫煙歴、性差、遺伝子変異ごとの感受性まで組み合わせた検討が必要となる可能性がある。