研究

がんの37%は予防可能、WHOと国際がん研究機関(IARC)推計

最大要因は喫煙、感染症や飲酒も

世界保健機関(WHO)のロゴが掲げられた看板。
世界保健機関(WHO)のロゴが入った看板。(写真:Adobe Stock)

 世界のがんのうち、最大で4割が予防可能であることが示された。

 WHO(世界保健機関)と、WHOのがん専門組織である国際がん研究機関(IARC)が2026年2月4日、世界がんデーに合わせて発表した。

予防可能な要因として30項目を評価

屋内でたばこを吸う若者の手元。
たばこを吸う若者の様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 185カ国・36種類のがんを対象に、行動や環境、感染症など予防可能な30要因を分析した。
  • 喫煙や飲酒、肥満、運動不足に加え、大気汚染や紫外線、HPVや肝炎ウイルスなど9種の感染症も含めて評価した。
  • 国際データベースを用い、感染症を含む世界規模のまとまった推計は初めてとされる。

 WHOとIARCは、世界185カ国、36種類のがんを対象として、それぞれのがん発生に関連する要因のうち、行動を変えるなどすることで防ぐことが可能な計30種類の要因について分析した。

 具体的には、たばこや飲酒のほか、高BMI(肥満)、運動不足といった行動の改善によって減らせる要因が含まれた。また、大気汚染や紫外線などの環境要因も対象とされた。さらに、ヒトパピローマウイルス(HPV)やヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)など9つの感染症も、ワクチン接種などにより予防可能とされた。

 解析では、「GLOBOCAN 2022」などの国際的なデータベースが用いられ、国や地域ごとにリスクとなる要因にさらされる状況、がん発生率を踏まえて推計された。

 感染症を含め、世界規模でまとまった分析が行われたのは今回が初めてだという。

男性で45%、女性で30%が予防可能

医療用手袋を着けた手がワクチンバイアルから注射器に薬液を吸引している様子。
ワクチンを注射器に吸引する場面。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 新規がんの37%が予防可能と推計され、最大の要因は喫煙(15%)、次いで感染症(10%)、飲酒(3%)。
  • 男性では45%、女性では30%が予防可能とされ、男性は喫煙、女性は感染症の影響が大きかった。
  • 肺がん・胃がん・子宮頸がんで予防可能ながんの約半数を占め、地域差も大きいことが示された。

 結果として、予防可能な要因の中で最も影響が大きかったのは喫煙で、すべての新たに発生したがんのうち15%が関連していると分かった。

 これに続いて影響が大きかったのは感染症で、がん全体の10%、次いで飲酒が3%だった。

 がんの種類ごとに見ると、予防可能ながん全体のうち、肺がん、胃がん、子宮頸がんの3種で約半数を占めた。肺がんは主に喫煙と大気汚染、胃がんはピロリ菌感染、子宮頸がんはHPV感染が原因とされた。

 男女差では、男性では新たに発生したがんの45%、女性では30%が予防可能ながんと推計された。男性では喫煙が23%と突出し、感染症(9%)、飲酒(4%)が続いた。一方、女性では感染症が11%で最多となり、喫煙(6%)、高BMI(3%)が続いた。

 地域差では、男性では東アジアで予防可能ながんの割合が57%と最も高く、ラテンアメリカやカリブ地域では28%と最も低かった。女性では北アフリカと西アジアで24%と低い一方、サハラ以南アフリカでは38%に達した。

 研究では、たばこや飲酒対策、感染症予防のワクチン接種、大気汚染対策などを進める重要性が改めて示されたと指摘している。

参考文献

 Four in ten cancer cases could be prevented globally(WHO・IARC)
https://www.iarc.who.int/wp-content/uploads/2026/02/pr375_E.pdf

 Fink H, et al. Global and regional cancer burden attributable to modifiable risk factors to inform prevention. Nat Med. 2026 Feb 3.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41634393/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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