研究

HPVワクチンを受けた若い世代で、子宮頸がんにつながる異常が減少

ポルトガル北部の検診データで報告

医療従事者が腕に注射をしている様子。ワクチン接種を示すイメージ。
上腕にワクチンを接種する様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの普及により、子宮頸がん検診で見つかるHPVの型や、細胞の異常に変化が出始めている可能性が示された。

 ポルトガル北部の子宮頸がん検診データを分析した研究が、2025年11月に発表された。

ワクチン対象のHPV型が減少

医療従事者が上腕に注射器を近づけ、ワクチン接種を行おうとしている様子。
上腕へのワクチン接種を受ける様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • HPVワクチンを受けた世代が、子宮頸がん検診を受ける年齢になり始めている。
  • ポルトガル北部の検診では、若い女性でワクチンが防ぐHPV16/18の割合が低下していた。
  • ワクチンで防げる型が減る一方、HPV68やHPV52など別の型が相対的に目立ち始めている。

 子宮頸がんの多くは、HPVの感染と関係している。HPVには多くの型があり、その中には子宮頸がんにつながりやすい高リスク型がある。

 今回の研究では、ポルトガル北部の子宮頸がん検診データを用いて、2019年から2024年までの変化を調べた。

 HPVワクチンを受けた若い世代が、子宮頸がん検診を受ける年齢になってきたため、検診結果に変化があるかを確認した。

 その結果、4価HPVワクチンが防ぐ高リスク型であるHPV16/18の割合は、2019年の17.5%から2024年には11.4%に低下していた。特に、ワクチンを受けた可能性が高い若い世代で、この減少が目立った。

 2022年から2024年のデータでは、子宮頸がんにつながりやすい高リスクHPVが検出された人は14.1%だった。このうち、複数のHPV型に感染していた人は28.4%だった。

 多く見つかった型は、HPV68が16.6%、HPV52が14.5%、HPV31が13.3%だった。ワクチンで防げる型が減る一方で、それ以外の型が相対的に目立つようになっており、検診で見つかるHPV型の構成が変わり始めている可能性がある。

若い女性で、がんの手前の異常も減少

HPVワクチンと書かれたバイアルと注射器を、手袋を着けた手が持っている様子。
HPVワクチンと注射器。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 若い世代では、子宮頸がんにつながる可能性がある高度な病変が減少していた。
  • 高度な病変のうち、HPV16/18に関連すると考えられる割合も低下していた。
  • ワクチンを受けた世代でも、別のHPV型に注意しながら検診を続けることが重要と考えられる。

 細胞診で詳しく調べた人では、軽度の細胞異常が14.8%、軽度の病変が7.2%、高度な病変が3.9%だった。

 注目されるのは、若い世代で高度な病変が減っていた点だ。高度な病変は、将来、子宮頸がんにつながる可能性がある「がんの手前の異常」と考えられる。

 若い世代では、この高度な病変の割合が、2019年の6.0%から2024年には2.4%に低下していた。さらに、高度な病変のうち、4価HPVワクチンが防ぐHPV16/18に関連すると考えられる割合も、38.5%から23.5%に減少していた。

 この結果は、HPVワクチンを受けた可能性が高い世代で、子宮頸がんにつながる異常が減り始めている可能性を示している。

 一方で、HPVには多くの型がある。ワクチンで防げる型が減ると、HPV68やHPV52など、別の型が検診で目立つようになる可能性もある。そのため、ワクチンを受けた世代でも、子宮頸がん検診を続けることは重要だ。

 今回の研究は、HPVワクチンの影響が、検診データにも表れ始めている可能性を示した。今後、ワクチン接種世代が検診対象に広がるにつれて、検診でどのHPV型に注目するのか、検診体制をどう見直すのかが課題になると考えられる。

 日本でも、HPVワクチンを受けた世代が検診対象年齢に入っていく中で、同様の視点が重要になりそうだ。

参考文献

Sá P, Monteiro P, Henrique R, Lunet N. The cervical cancer screening program in the North of Portugal: Outcomes after nearly two decades of coexistence with the human papillomavirus vaccine. Int J Cancer. 2026 Mar 15;158(6):1577-1587. doi: 10.1002/ijc.70196. Epub 2025 Nov 3. PMID: 41181943.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41181943/

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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