日本

自宅などで使える「がんリスク検査」が拡大

富士経済予測、予防や早期の気付きへの関心高まる DTC検査市場は2030年に221億円の予測

採尿時の注意事項が書かれた書類の上に、尿検査用の採尿容器が置かれている様子。
尿検査で使用する採尿容器。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 自宅で検体を採取して郵送するだけで利用できる「DTC検査」の市場が拡大している。

 調査会社である富士経済が2026年5月に報告した。

がんリスク検査を自宅で受ける選択肢

DTC検査の国内市場規模を、2024年、2025年、2026年見込、2030年予測で示した積み上げ棒グラフ。
DTC検査の国内市場規模の推移と予測。(出典:富士経済)
  • DTC検査は、利用者が自宅などで検体を採取して送付し、体質や疾病リスクなどの結果を直接受け取る検査。
  • 国内DTC検査市場は2025年に149億円となり、2030年には221億円に達すると予測されている。
  • 遺伝子検査や腸内フローラ検査に加え、がんリスク検査の伸びが市場拡大に寄与している。

 同社によれば、DTC検査とは、医療機関を介さずに利用者が自ら検体を採取して送付し、体質や疾病リスクなどに関する結果を直接受け取る検査。

 病気の診断や治療方針の決定を目的とする医療分野の検査とは異なり、健康への気付きを得たり、生活習慣の見直しにつなげたりするものと位置づけられる。

 富士経済の予測によると、国内DTC検査市場は2025年に前年比11.2%増の149億円となった。このような増加の背景には、健康意識の高まり、「腸活」という言葉の広がり、メディアやインフルエンサーを通じた認知度の向上、安価な検査キットの発売、リピート需要の獲得などがあるという。2030年には、2025年と比べて48.3%増の221億円に達すると予測している。

 同社の調査では、DTC検査に、遺伝子検査や腸内フローラ検査、尿を用いる検査や、線虫を利用したがんリスク検査、生活習慣病関連の検査、性感染症検査、フェムテック関連検査などの人向け検査に加え、ペット向け検査も含めている。このうち、がんリスク検査は伸び率が高く、市場拡大に寄与しているという。

予防や健康管理の入口になる可能性

男性が検査用の容器を持ち、唾液を採取しようとしている様子。
唾液を使った検査のために検体を採取する場面。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • DTC検査は病気の有無を確定するものではなく、結果に応じて医療機関での検査や相談につなげることが重要になる。
  • 自宅で使える検査は、忙しい人や健康状態を定期的に確認したい人にとって身近な選択肢になりつつある。
  • がんリスク検査を含む自宅型の検査は、健康状態を見直し、受診につなげる入口として広がる可能性がある。

 DTC検査は、病気の有無を確定するものではない。例えば、がんリスク検査についても、結果だけで病気かどうかを判断するのではなく、必要に応じて医療機関での検査や相談につなげることが重要になる。

 一方で、検査への心理的なハードルを下げる点では、DTC検査の役割は大きいと見られる。忙しくて健診を受けにくい人や、自分の健康状態を定期的に確認したい人にとって、自宅で使える検査は身近な選択肢になりつつある。

 富士経済は、健康意識の高まりや検査サービスの認知度向上を背景に、DTC検査市場は今後も拡大すると見ている。

 がんリスク検査を含む自宅型の検査は、健康状態を見直し、必要に応じて受診につなげる入口として広がりそうだ。

参考文献

DTC検査市場を調査―2030年国内市場予測―(富士経済)
https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=26051&view_type=2

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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