世界

米国で大腸がん血液検査「シールド」の保険適用が拡大

45歳以上の平均リスク層を対象に、採血による検診の選択肢が広がる

医療従事者が検査用の採血管を手に持っている。
大腸がん検診用血液検査「Shield」は、45歳以上で大腸がんのリスクが平均的な人を対象に、採血で検査できる。陽性の場合は大腸内視鏡検査による確認が必要。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 採血だけで大腸がんを調べる血液検査が、米国で利用しやすくなる。

 米国ガーダント・ヘルス(Guardant Health)の大腸がん検診用血液検査「シールド(Shield)」について、米医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループ(UnitedHealth Group)の保険で、条件を満たす加入者が保険適用の対象になった。

 ガーダント・ヘルスが2026年7月1日に発表した。

45歳以上、採血だけで大腸がんを検査

スマートフォン画面に表示されたGuardant Healthのロゴ。
大腸がん検診用の血液検査「Shield」を開発したGuardant Health。(出典:Adobe Stock)
  • 「シールド」は血液中を流れるDNAの変化を調べ、大腸がんに関連する特徴があるかを判定する血液検査。
  • 対象は45歳以上で大腸がんのリスクが平均的な人で、通常の受診時の採血で検査できる。
  • 便採取や内視鏡前の準備が不要なため、これまで大腸がん検診を受けていなかった人の新たな選択肢になる可能性がある。

 シールドは、血液中を流れるDNAの変化を調べ、大腸がんに関連する特徴があるかを判定する検査だ。

 対象となるのは45歳以上で、大腸がんになる危険性が平均的な人だ。通常の医療機関の受診時に採血して検査できる。

 大腸がん検診では、大腸内視鏡検査や便を使った検査などが行われている。一方、検査前の準備や便の採取などを負担に感じ、検診を受けない人もいる。

 血液検査であれば、日常的な採血と同じように受けられるため、これまで大腸がん検診から遠ざかっていた人にも新たな選択肢となる可能性がある。

 シールドは2024年、45歳以上で平均的なリスクの人を対象とする大腸がんの一次検診用血液検査として、米食品医薬品局(FDA)の承認を受けた。

 ガーダント・ヘルスによると、FDAが承認した大腸がん検診用の血液検査として、米国がん協会(ACS)と全米総合がんネットワーク(NCCN)の両方の指針に掲載されているのは、シールドだけだという。

米国で保険適用が拡大、陽性なら内視鏡で確認

UnitedHealthcareのロゴが表示された画面。
Guardant Healthの大腸がん検診用血液検査「Shield」が、UnitedHealth Groupの保険で対象になった。(出典:Adobe Stock)
  • ユナイテッドヘルス・グループの保険で、条件を満たす45歳以上の加入者がシールドの保険適用対象となった。
  • ガーダント・ヘルスによると、米国でシールドの保険適用にアクセスできる人は計1億人規模に広がった。
  • 陽性でも大腸がんの確定診断ではなく、大腸がんや進行腺腫の有無を確認するため大腸内視鏡検査が必要となる。

 今回、ユナイテッドヘルス・グループの保険でも、シールドが利用できるようになった。同グループの保険には約4000万人が加入しており、勤務先を通じた保険や個人向け保険、メディケア・アドバンテージや、メディケアの補足保険などが含まれる。

 今回の変更により、45歳以上で大腸がんのリスクが平均的など、条件を満たす加入者が保険適用の対象となる。

 ガーダント・ヘルスは、ほかの保険制度も合わせると、米国でシールドの保険適用にアクセスできる人は計1億人規模になったとしている。

 シールドは大腸がんを確定診断する検査ではない。陽性になった場合は、大腸がんや進行した大腸腺腫の可能性があるため、大腸内視鏡検査で詳しく調べる必要がある。

 また、遺伝的な要因などで大腸がんの危険性が高い人を対象とした検査ではない。そうした人では、それぞれのリスクに応じた検査や経過観察が必要になる。

 米国では、若い世代の大腸がん増加も問題になっている。シールドは、平均的なリスクの45歳以上を対象としている。採血だけで受けられる検査が保険で利用しやすくなったことで、これまで検診を受けていなかった人の参加につながるかが注目される。

 日本で同じ検査が利用できるわけではないが、採血だけで大腸がんを調べる検査が医療保険の対象として広がっている米国の動きは、今後の大腸がん検診のあり方を考える上でも参考になる。

参考文献

UnitedHealth Group Now Covers Guardant Health’s Shield Blood Test for Colorectal Cancer Screening(Guardant Health)
https://investors.guardanthealth.com/press-releases/press-releases/2026/UnitedHealth-Group-Now-Covers-Guardant-Healths-Shield-Blood-Test-for-Colorectal-Cancer-Screening/default.aspx

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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