研究

酢酸を多くとる人は炭水化物と飽和脂肪酸が少ない傾向 肥満予防のヒントに

日本人1.2万人の食事記録アプリ解析、藤田医科大学が報告

酢を木べらでかき混ぜ、水面に波紋が広がる様子。
酢が広がる様子。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 酢に含まれる「酢酸」を多く摂る習慣のある人ほど、炭水化物や飽和脂肪酸の摂取が少ない──。

 藤田医科大学の研究グループは、食事管理アプリに蓄積された日本人成人約1.2万人の食事データに基づいて、酢酸摂取量と栄養素摂取の関連を明らかにした。

 酢を含む食事が、肥満予防につながる可能性が示された。

酢酸摂取を「食習慣」として捉え直す背景

カウンター越しに寿司を握る職人の手元。
寿司店で調理を行う職人。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

酢酸摂取を「食習慣」として捉え直す背景

  • 酢は日本の食文化に深く浸透し、健康機能への関心も高まっている。
  • 酢酸は血糖調整や肥満・2型糖尿病リスク低減の可能性が報告されている。
  • 約1.2万人の食事データを用い、酢酸摂取量と栄養素摂取の関連を大規模に分析した。

 研究グループは、酢が食文化に深く浸透していることを指摘する。日本では、寿司や漬物などあらゆる食品に使われ、風味付けや保存、カルシウムの吸収促進などの効果が利用されてきた。

 酢酸は、血糖値を調整するといった機能に関与し、肥満や2型糖尿病のリスクを低下させる可能性も報告されている。

 研究によれば、酢の摂取量は正確な把握が難しく、日による変動も大きい。そのため酢の摂取量と健康状態や栄養摂取との関連を大規模に検討した研究は限られていた。

 そこで研究グループは、食事記録アプリ「あすけん」のデータを用い、20~69歳の日本人成人1万2074人(男性3038人、女性9036人)を対象に、酢酸摂取量と各種栄養素の摂取状況との関連を分析した。年齢・性別で調整したモデルに加え、総エネルギー摂取量を加味したモデルでも検討した。これにより、同じカロリーを摂っている場合にどのように栄養素の構成が異なるかを調べた。

炭水化物や飽和脂肪酸が少ない傾向

皿に盛られた色とりどりの漬物を箸でつまむ様子。
さまざまな野菜の漬物を盛り合わせ。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

炭水化物や飽和脂肪酸が少ない傾向

  • 酢酸摂取量が多い人ほど、炭水化物や糖質、でんぷん、飽和脂肪酸が少ない傾向が示された。
  • 同じ摂取エネルギーでも、糖質や特定脂質を抑えた栄養バランスと関連した。
  • 酢を含む食事は、でんぷんや飽和脂肪酸を抑え、肥満予防につながる可能性が示唆された。

 結果として、摂取カロリーの影響を統計的に調整すると、酢酸摂取量が多い人ほど、炭水化物、総糖質、でんぷん、飽和脂肪酸、さらに酪酸の摂取量が少ないという逆相関の関連が示された。

 酢酸摂取の多い食習慣が、糖質や特定脂質を抑えた栄養バランスと結びつく可能性が示されたことになる。

 なお、酢酸摂取量は男性で多く、高齢になるほど増える傾向が確認された。年齢や性別を調整した場合には、酢酸の摂取量は食物繊維など多くの栄養素の摂取量と比例した。酢をよく使う人は、全体として栄養素の摂取が豊富である可能性がうかがえた。

 研究グループは、こうした傾向から酢酸を含む食事は、でんぷんや飽和脂肪酸の摂取を抑え、肥満予防に役立つ可能性があると位置づけた。

 研究グループは、酢酸摂取量と体組成や疾病リスクとの関連について、今後さらに検討するとしている。

 今回の研究は食事データを解析して関連を見たものなので、因果関係を直接示さない。そのため酢を多く取れば、炭水化物や飽和脂肪酸が減るわけではないものの、健康的な食事を考えるヒントにつながり得る。

参考文献

酢酸を多くとる習慣のある人ほど、 炭水化物や飽和脂肪酸の摂取が少ない—日本人約1.2万人の食事データ解析—(藤田医科大学)
https://www.fujita-hu.ac.jp/news/vsfo8q0000010t6f.html

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

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