研究

妊娠前・妊娠中の運動と子どもの発達に関連、東北大学が報告

母子ペア3.8万組解析で神経発達との関係を確認

指導者とともにストレッチを行う妊婦
指導者とともにストレッチを行う妊婦。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

 妊娠前から妊娠中の運動は子どもの発達にとっても好ましい可能性がある。

 東北大学の研究グループが、全国規模の調査データを用いた結果を2026年3月に発表した。

妊娠前、妊娠中期の身体活動の影響が調べられた

屋外で会話しながら歩く妊婦と女性
屋外で会話しながら歩く妊婦と女性。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 妊娠中の運動は推奨されているが、子どもの発達への影響は十分に解明されていなかった。
  • エコチル調査の大規模データを用い、母子約3.8万組を解析した。
  • 妊娠前・妊娠中期の運動量と子どもの神経発達の関連を検討した。

 報告によると、妊娠中の適度な運動は体重管理や健康維持の観点から推奨されているが、胎児や出生後の発達への影響についてはまだ十分に解明されていない。

 今回、研究グループは、環境省が進めている大規模な調査である「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを活用して、この課題に取り組んだ。

 解析には、約10万組の参加者のうち3万8219組の母子ペアの情報が用いられ、妊娠前および妊娠中期の運動のレベルと、生まれた子どもの神経発達との関連が調べられた。

 神経発達の指標には、運動能力や問題解決能力などが含まれた。

生後6カ月〜1歳の発達に関連

両手を上げて体を動かす子どもたち
両手を上げて体を動かす子どもたち。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
  • 母親の身体活動が高いほど、子どもの神経発達が良好な傾向が見られた。
  • 特に生後6カ月〜1歳の運動発達との関連が強く確認された。
  • 年齢が上がると環境要因の影響が増し、関連は弱まる傾向が示された。

 その結果、妊娠前と妊娠中期に身体活動レベルが高いほど、子どもの神経発達が良い傾向が確認された。

 特に、生後6カ月から1歳にかけての運動能力の発達との関連が強かった。

 体を大きく動かす力や細かく動かす力、問題を解決する力といった分野で、はっきりとした関係が確認された。

 一方で、子どもの年齢が上がるにつれて、運動習慣との関連は徐々に弱まり、保育施設の利用など環境要因の影響が相対的に大きくなることも示された。

 この研究は関連を調べたものなので、妊娠中に運動をすれば子どもの発達が良くなるという因果関係を直接的に証明したわけではないが、妊娠中の運動の意義を考えるヒントになりそうだ。

参考文献

妊娠前および妊娠中の母体の運動習慣と子どもの神経発達との関連―全国規模のエコチル調査データで正の相関が明らかに―(東北大学)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/03/press20260305-03-pregnancy.html

星良孝

この記事の執筆者

星良孝

PRENOVO編集長。東京大学農学部獣医学課程卒。日経BPにて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集・記者を担当後、エムスリーなどを経て2017年にステラ・メディックスを設立。ヘルスケア分野を中心に取材・発信を続ける。獣医師。

ARCHIVE

新着記事

胸部X線画像を表示したモニターを前に、医師が診断AIの解析画面を確認している様子。
画像診断AIは、胸部X線やCT、MRIなどの検査画像から異常が疑われる症例を拾い上げ、医師の読影を支援する。画像はイメージ。

診断AIは「導入して終わり」ではない、マウントサイナイなど米12医療グループが検証へ

画像検査が増える一方で、診断する医師の負担も重くなる。こうした課題に対し、AIを各医療機関が個別に導入するだけでなく、複数の大規模医療グループが共同で効果や…

医師らが、人体の血管や骨格を映したデジタル画像を見ながら解析している。
AIと血液中の多様な生体情報を組み合わせることで、循環器病のリスクをより詳しく評価できる可能性がある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

心臓や血管の病気6種類、血液中のタンパク質などをAI解析しリスク予測を改善

- 従来の循環器病のリスク予測は、年齢や血圧などが中心で、一人ひとりの変化を十分に捉えにくい課題。 - AIで血液中の2920種類のタンパク質と168種類の…

農地と集落が広がる田園地帯の風景。
農薬への曝露は、農地周辺の地域環境や住民の健康リスクを考える上でも重要になる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

住む地域の環境とがんリスクに関連、複数の農薬の影響を受けやすい地域で平均150%高く

農業で使われる複数の農薬への環境曝露が多い地域では、がんの発症リスクも高い可能性があることが、ペルー全国を対象とした研究で示された。フランスのパスツール研究…

室内で電子たばこを手に持ち、口元に近づけている人。
電子たばこ使用では、DNA損傷や酸化ストレス、口や呼吸器の炎症など、がんにつながり得る変化が報告されている。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

電子たばこ、肺がんや口腔がんを引き起こす可能性

電子たばこは、肺がんや口腔がんを引き起こす可能性が高い――。世界各地で行われた研究を幅広く検討した結果から、こうした結論が示された。オーストラリアのニューサ…

関連する病気から探す

カテゴリーから探す

あなたの立場から探す

あなたの関心から探す