若い世代の大腸がんが世界的に問題になっている。
そうした中で、50歳未満で発症する大腸がんでは、「腹痛」「肛門からの出血」「下痢」「鉄欠乏性貧血」の4つが、診断前の警告サインになる可能性があると示されている。
米ワシントン大学医学部(セントルイス)の研究チームが保険請求データを分析した研究で、米国立がん研究所が2023年6月15日に研究結果を紹介した。
腹痛、出血、下痢、鉄欠乏性貧血の4つ
若い世代の大腸がんでは、肛門からの出血や下痢などが警告サインになることがある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 18~49歳の大腸がん患者5075人などを調べた結果、腹痛、肛門からの出血、下痢、鉄欠乏性貧血が警告サインとして示された。
- 最も多く記録されていた症状は腹痛で、大腸がんとの結び付きが最も強かったのは肛門からの出血だった。
- 4つの症状だけで大腸がんと確定するわけではないが、受診や詳しい検査を考える手掛かりになる。
米ワシントン大学の研究チームは、18~49歳で大腸がんと診断された5075人と、大腸がんではない2万2378人の保険請求データを分析した。対象者の平均年齢は43歳だった。
研究チームは、大腸がんと診断される3カ月前から2年前までに、どのような症状や異常が記録されていたかを調べた。その結果、腹痛、肛門からの出血、下痢、鉄欠乏性貧血の4つが、大腸がんと診断された人に多く見られた。
研究チームによると、4つの中で最も多かったのは腹痛だった。大腸がんと診断された人の11.6%に記録され、大腸がんではない人の7.7%を上回った。
2つ目に、大腸がんの診断との結び付きが最も強かったのは、肛門からの出血だった。便に血が混じる、排便時に出血に気づくといった症状が含まれる。
3つ目に、下痢も、大腸がんと診断された人に多く見られた。
4つ目は鉄欠乏性貧血だった。米国立がん研究所は、鉄欠乏性貧血も若い世代の大腸がんを疑う手掛かりになり得るとしている。大腸から少量の出血が続くと、目に見える血便がなくても鉄欠乏性貧血になることがある。血液検査で指摘されるほか、疲れやすさ、息切れなどが現れる場合もある。
研究チームが示した4つは、大腸がんを確定する症状ではないものの、受診や詳しい検査を考える手掛かりになる。腹痛や下痢は感染症や過敏性腸症候群で、出血は痔などでも起こる点も理解しておく必要がある。
症状が続く、繰り返す、複数重なる場合は注意
腹痛や貧血による疲れやすさなど、若い世代の大腸がんでも見逃せない症状がある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 警告サインが1つあると大腸がんとの関連は約2倍、2つでは約3倍、3つ以上では約6倍だった。
- 診断の3カ月以上前から症状が記録されていた人もおり、症状の出現から診断まで数カ月かかる場合があった。
- 腹痛や出血、下痢、鉄欠乏性貧血が続く、繰り返す、複数重なる場合は、年齢にかかわらず医療機関への相談が重要。
注目したいのは、警告サインが重なるほど、大腸がんとの関連が強くなった点だ。
4つの警告サインが1つある場合は約2倍、2つでは約3倍、3つ以上では約6倍、大腸がんと診断された人に多く見られた。
また、症状は診断の直前だけに現れていたわけではない。診断の3カ月以上前から、4つのうち少なくとも1つが記録されていた人は約20%だった。
一方、診断前3カ月以内になると、最初の警告サインが記録された人は約半数に上った。大腸がんが見つかる時期が近づくにつれて、症状が現れやすくなっていた可能性がある。
ただし、今回の研究で数えたのは、医療機関を受診し、保険請求の記録に残った症状だけだ。症状があっても受診しなかった人や、記録に残らなかった人が存在している可能性がある。
症状が記録されてから診断までには、一定の時間がかかっていた。警告サインが1つだった人では約10カ月、3つ以上あった人では約5カ月が中央値だった。
症状が複数あっても、すぐに大腸がんの診断へつながるとは限らない。だからこそ、腹痛や出血、下痢、鉄欠乏性貧血が続く、繰り返す、複数重なる場合には、年齢にかかわらず医療機関に相談することが重要となる。
今回の研究は米国の保険請求データを使ったもので、日本人でも同じ傾向になるかは分からない。ただ、大腸がんは高齢者だけの病気ではなく、気になる症状を放置しないことが早期発見につながる。